生麺のもちもちした食感、ベーコンやキノコの具材のバランス、ニンニク、唐辛子、塩加減。Poka Pokaのペペロンチーノはすべてがちょうどいい。シンプルだからこそ、おいしさをダイレクトに感じます。
子どもたちが学校にいる間、仕事が休みの昼に妻と2人でよく行きます。子育ての悩みや、憂いごとがあるときに食べたくなるんです。ペペロンチーノを待っている間、妻と話す時間がとても幸せです。
1人で運営する出版社に午前9時に出社し、午後4時には切り上げます。夕飯作りは主に僕が担当。ペペロンチーノもうまくなりましたが、Poka Pokaで食べるほうがおいしいから、また行きたくなる。
昔に比べ寂れてしまった団地の商店街にPoka Pokaが開店したのは4年前。店って、街の文化を作る力があると思うんです。この店が生活圏内に希望の光を与えてくれた。そのくらいいとしい存在です。
実は3年前まで食べることにまったく興味がなかった。愛煙家で、出張先ではファストフードで済ませていたほど。でも子どものことを考えて禁煙したら、食べることが楽しくなって。先日、出張先の佐渡で食べた寿司(すし)も驚くほどうまかった。今さらだけれど、48歳になって見つけた喜びです。
(聞き手・片山知愛)
しまだ・じゅんいちろう 1976年生まれ。2009年、出版社「夏葉社」を1人で設立。「何度も、読み返される本を。」を理念とし、文学を中心に出版活動を行う。著書に「長い読書」(みすず書房)ほか多数。