仙台市で過ごした会社員時代に、盛岡市出身の同僚と行ったスキーの帰りに教えてもらったのが、白龍の「じゃじゃ麺」です。
うどんのような麺に黒光りするみそ、キュウリ、紅ショウガを添えたシンプルな料理です。濃厚なみそにもちもちした麺が合うので、夢中で食べ進めると、同僚が「ちょい待ち、少し残せ」というんです。
彼は食べかけの器に生卵を割り入れ、「『ちいたんたん』お願いします」と。店員さんはその器に麺のゆで汁をなみなみと注ぐじゃないですか。
衝撃でしたが、残したみそや麺に絡めた卵は、熱いゆで汁でかき玉のようになってまた一層おいしい! スキーで冷えた体が芯から温まりました。僕は「ちいたんたん」まで含めて「じゃじゃ麺」と思っています。
入社後すぐに仙台支社勤務になり、単身東北へ。見知らぬ土地で人恋しさが募り、友人に電話をかけまくりましたよ。固定電話だとずっと話してしまうから、遠距離電話は残り度数が分かるテレホンカードを使って公衆電話で。カードは束で持ち歩いてましたね(笑)。
塩っ辛いみそで食べたあとは温かいゆで汁で締める。いかにも厳冬際立つ東北らしいし、理にかなっていますよね。寒さも人恋しさも吹き飛ばす、思い出の一杯です。
(聞き手・鈴木麻純)
◆盛岡市内丸5の15(☎019・624・2247)。中盛り700円、ちいたんたん50円。月~土曜は午前9時~午後9時、日曜は午前11時半~午後4時(いずれもラストオーダーは15分前)。日曜は不定休。お盆、年始休み。
おだい・りょうへい タレント・俳優。2002年、「仮面ライダー龍騎」で俳優デビュー。歌謡グループ「純烈」のメンバーとして活動後、現在は旅番組のリポーターやコメンテーターとして活躍。今後の活動は、ホームページ(https://odairyohei.fanpla.jp/)