名前が気になったんです。ケーキに「セラヴィ(これぞ我が人生)」と名付ける思いの重さを感じて。実際に食べたら、「すごい!」。
外側のホワイトチョコのムース、中のピスタチオのスポンジとフランボワーズのショコラムース、底に敷かれたサクサクのフィヤンティーヌ(薄焼き生地)。やさしい甘さとほのかな酸味、香ばしさが絡み合って、調和のとれたおいしさ。職人さんが思いを込めて作ったケーキって、こんなにドラマチックな気持ちになれるんだと感動しました。
真っ白な六角形にのったフランボワーズ。その上にきらめくナパージュ(つや出しや乾燥を防ぐジュレ状のもの)が、一滴の涙のようです。甘さと酸っぱさが絡みながらスッと口の中で消えていく。まさにセラヴィ。楽しいことだけを味わえない。酸いも甘いも全て味わってこそ人生だと思うんです。勝手な想像ですが、パティシエの辻口博啓さんも様々な思いをされ、一つの証しとしてこのケーキが生まれたのかなと。食べながらそう感じました。
ネットで書いた記事を読んだ「オモコロ」編集者に声をかけられ、27歳でライターに。若い頃はとがってましたが、今は人の気持ちが自分のことのように感じられる。年とともに味わうケーキと言えるかもしれません。
(聞き手・片山知愛)
◆東京都目黒区自由が丘2の22の4(03・3718・5200)。820円(税込み)。午前11時~午後6時(21~25日は午前10時から、31日は午後5時まで)。水曜休み(12月は11、17~20、26、27日が休み)。オンラインで1セット(4個)から購入可。
はらじゅく 1981年生まれ。中学生の頃からインターネットの面白さにのめり込み、2012年からお笑い系ウェブメディア「オモコロ」の編集長。YouTube「オモコロチャンネル」でも活動中。