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尾上菊之丞さん
スパイシーカリーハウス銀座半月 チキンカレー

尾上菊之丞さん

 新橋の見番での稽古帰りに、ふと食べたくなるのが「半月」のチキンカレーです。スパイシーだけれどちょうどいい辛さで、油っぽくなく軽やか。鶏もも肉はほろりと軟らかく、押し麦入りのターメリックライスの食感もいい。食べると力が湧いてくる一皿です。

 トッピングには「スパイス玉子」が定番で、気分によって「炙(あぶ)りチーズ」を足すことも。普段は福神漬けなどの添え物が苦手ですが、ここの副菜のピクルスやラペは、カレーに不思議となじむんです。ルーとご飯がきっちり分かれていて、その構図が性格的にも好き。ぐちゃぐちゃっと混ぜずに食べるのが流儀です。
 舞踊に振り付け、演出などで多忙な毎日。今日は行けそうだと分かると、落ち着いた時間を狙って訪れます。夕飯が夜11、12時を過ぎてしまうこともあるけれど、「半月」で食べた後は間食もせずおなかが持つんです。用意されたものより、食べたいものを食べたい。根が食いしん坊っていうこともあるんだけどね。
 子どもの頃の定番は、母が作るさらさら系。市販のルーに豚肉とジャガイモが中心で、苦手なニンジンやタマネギは入れずに作ってくれた。最近のスパイスカレーとは全く違うけれど、カレー好きの根底はここにある気がします。

(聞き手・片山知愛)

 

 ◆東京都中央区銀座6の4の15の1階(☎03・3573・3001)。平日ランチ1100円、[後]4時以降と[土][日][祝]の終日1300円。[前]11時~[後]10時([日][祝]は~[後]8時)。不定休。ルーの味付けや副菜の種類は時期や季節によって変わる。


 おのえ・きくのじょう 尾上流四代家元。1976年生まれ。歌舞伎や現代劇、海外公演でも演出や振り付けを担い、日本舞踊の魅力を発信。9月27、28日開催の「逸青会」では、狂言師の茂山逸平と共演し、演出も務める。

 

 

 

(2025年8月21日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)