そもそも私は羅臼昆布大使をやっているくらいの昆布好き。昆布締めは出身富山の郷土料理でそれはたくさん食べてます。なかでもこれを選んだのは、「えっ」と思うほど店主の気持ちが入っていたからです。
昆布締めのイカは大体細いイカ刺しだけど、これは太さが4㌢くらいある。それでもネットリして軟らかいのは隠し包丁がたくさん入っているからで、この手の入れ方は今まで見たことがないね。薄めの真昆布と厚めの羅臼昆布ではさむことで、ジュワッとしたうまみが入る。長時間締めすぎて刺し身が硬くしょっぱいものや、切り方によっては筋っぽいのもあるけど、ここんちのはなめらかで濃厚。魚と昆布のうまみが凝縮されてる。おしょうゆなんかほとんどいりません。
ぜひこの仕事ぶりを全国の知り合いにも食べていただきたくて、お中元やお歳暮に使っています。食通で知られたみのもんたさんも「いやぁ~うまいねぇ。酒がすすむね~」とおっしゃってくださいました。
今出演中の舞台「大誘拐」でいったら、昆布締めの昆布にあたるのが台本ですね。個性の強いメンバーをうまくまとめていい味を出させてる。かめばかむほど味が出てくる昆布のようないい芝居になりました。
(聞き手・水越悠美子)
◆富山市水橋辻ケ堂2162の9(☎076・478・2153)。午前9時~午後5時(月、水午後、日休み)。2200円。「サス昆布〆」1750円、「地甘海老昆布〆」(普通)1750円ほか。店舗はテイクアウトのみ。原則毎月中旬、ホームページで予約受け付け(なくなり次第終了)。▽森昆布〆専門店
しばた・りえ 俳優。1984年久本雅美らとWAHAHA本舗設立。中山優馬、風間杜夫、白石加代子と共に出演する「『大誘拐』~四人で大スペクタクル~」は、10月10日の東京・シアター1010を皮切りに、大阪、愛知、神奈川など全国14カ所で公演。