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佐渡裕さん
奈良 而今(にこん) 鯖寿司(さばずし)

©Peter Rigaud c/o Shotview Artists

 鯖寿司と言えば、本当は母親がよく作ってくれたものが僕の中では最高なんです。京都では祝い事のたびに近所や親戚に配る習慣があり、家ごとに特色があります。子どもの頃から母やおばあちゃんの味が体にしみ込んでるんですね。

 でも而今さんの鯖寿司は、料理屋ならではの別格の良さがあります。数年前から演奏会でよく差し入れていただくのですが、すごくバランスがいい。サバは身が分厚くてプリプリ。脂が乗って、青魚のうまみがしっかり感じられるのに癖がない。シャリの間の茎わさびが絶妙なアクセントになってるのかな。本当は独り占めしたいけど、「こんなおいしいの食べたことないやろう?」と自慢しながら楽屋でシェアしています。

 お店には2回ほどお邪魔しました。店主はお若いのに、料理はどれも丁寧で質が高く、清潔感もあって気持ち良く過ごせます。順番や見せ方もよく考えられている。指揮者として譜面と向き合う時間は料理の下ごしらえに似ているかもしれませんね。実際の演奏は仮に40分にしても、何週間も前から譜面を読み、あれこれ書き込んで体に入れていく。最終的にいいものをお届けするという目標も同じです。今年もいろんな仲間と絆を深めながら、音楽のよろこびを追求していきたいね。

(聞き手・鈴江元治)

 

 ◆奈良市鍋屋町3(☎0742・31・4276)。5400円(持ち帰りのみ、要電話予約、発送不可、季節・入荷状況により変動)。店内では懐石コースを提供(要予約)。昼は正午(水土のみ)、夜は午後6時スタート。日月休み。

 


 

 さど・ゆたか 1961年生まれ、京都府出身。指揮者。音楽監督を務める新日本フィルハーモニー交響楽団(バイオリン:三浦文彰)と5月23日~6月7日に全国10カ所で公演。7月17日~26日には佐渡裕プロデュースオペラ2026「カルメン」を兵庫県立芸術文化センターで8回上演する(3月1日一般発売)。
 
(2026年2月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)