最新作「たしかにあった幻」を兵庫県の芦屋で撮り始めた2年前、ご縁あって通うようになったのがウカブ珈琲(コーヒー)さん。江崎丈雄さん、そよ香ちゃんご夫婦が営む、わずか4席の小さな店ですが、いつもにぎわっていてみんなを繫(つな)いでくれる街のホットステーションのような場所です。
出合ったのが、そよ香ちゃんがつくる「とうふドーナッツ」でした。シナモンシュガーがたっぷりかかっていて、外はパリッ、中はじゅわ。「空気ドーナッツ」と呼びたくなる軽さで、豆腐のほんのりとした甘みもあって、丈雄さんがいれるコーヒーとの相性が最高なんです。実はコーヒーは苦手でしたが、いまはマイカップを置かせてもらっているほどです。
映画では食事のシーンを大事にします。食べることには生き方が表れるから。若いころはジャンクなものも食べていましたが、命を授かり、心身の変化を経験して、食のありがたさが身にしみました。撮影現場でもスタッフみんなで同じ釜の飯を食べると心がそろう。映画をつくることと、誰かと食事をすることは同じぐらい大切です。
今度は息子と一緒に食べたい。イギリス留学から帰ってきたら優しく軽やかな「空気ドーナッツ」を味わってほしいですね。
(聞き手・片山知愛)
◆兵庫県芦屋市西山町3の10。350円。月~水祝午前8時~午後6時(土日は午後4時まで)。原則木金休み、不定休あり(インスタグラムで要確認)。コーヒー豆の販売がメイン。ドーナツは単品販売不可でコーヒーのお供として注文。