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森村泰昌さん
手打ちうどん坂出 天ぷらうどん

 JR大阪環状線桃谷(ももだに)駅前の商店街で50年以上も前から愛され続けている坂出さん。大好きな「天ぷらうどん」は、かけうどんの上に海老(えび)天が1本、そして青ネギがのっているだけやけど、普段はあまり外食しない僕にとっては特別。バランスもよくて「これぞ浪花(なにわ)の味!」と思っています。

 麺は丸くこねた生地を袋に入れ、足踏みして毎朝仕上げているそう。硬すぎず、軟らかすぎず、粘りとコシが程よくて、するりとのどを通ります。かつおと昆布で出汁(だし)をとったつゆは甘すぎず、辛すぎず、素直な味。しっかりと身が詰まった大ぶりの海老天がそのつゆを吸って、衣がほろりとほどけていくのを口に運ぶのが絶妙。すべてが僕にちょうどいいんです。

 小さい頃から慣れ親しんだ商店街。狭い通りに鮮魚店や衣料品店が軒を連ねる下町情緒の中に、最近はアジア系飲食店も交じって様変わりしました。坂出さんの天ぷらうどんは僕が初めて食べた20代の頃のまま。飾らずにずっと作り続けられていてすばらしい。まるで柳宗悦さんが提唱した「民芸」みたいやなあ。

 大阪中之島美術館の特別展に、大阪を舞台に巨大な看板絵として描いた新作を出展しています。活気ある観光名所とはひと味違う大阪の風景をお楽しみください。

(聞き手・山崎元子)

 

 ◆大阪市生野区桃谷1の12の16(☎06・6731・2616)。700円。家庭用持ち帰りパックもある。そば、定食、丼、一品料理も提供。午前11時~午後6時半(ラストオーダー)。火休み。

 


 

 もりむら・やすまさ 美術家。1951年生まれ、大阪府出身。85年にゴッホの自画像をまねたセルフポートレートを発表。名画や往年の映画俳優、偉人らに扮した写真や映像作品を手がけ続けている。4月に旭日小綬章を受章。大阪中之島美術館で「驚異の部屋の私たち、消滅せよ。―森村泰昌・ヤノベケンジ・やなぎみわ―」を7月20日まで開催中。
 
(2026年5月28日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)