サクサクしてほんのりと「焼き」のほろ苦さを感じるパイ生地に、甘さ控えめのバニラクリームが繊細に重なります。私は層を解体して「ミニミルフィーユ」をお皿で作りながら、大事に味わうのが好きです。
「ルノートル」のケーキを初めて食べたのは、パリに留学していた学生の頃。当時の私には少しぜいたくなお店だったので、大人の方に連れて行ってもらったのですが、そのおいしさに心底感動したのを覚えています。それ以来「頑張ったな、自分」と思えた時のご褒美として通っています。
パリのルノートルには総菜も並び、お菓子とともに大切な人への手土産として親しまれています。数あるメゾンの中でも、「ここを選べば間違いない」と信頼されている存在です。
フランスと日本では、材料や気候など様々な条件が異なるため、本場の味を再現するのは簡単ではありません。東京に出店すると聞いて日本に戻ったときに早速訪れましたが、正直、日本では味が違うかも、との思いも。ところが一口で「ここはパリ? ワープした?」と驚くほど、本場そのままの味だったのです。
フランス菓子の本領は何よりも味のバランス。その絶妙なバランスを日本でもしっかり再現しているところがさすがです。
(聞き手・朴琴順)
◆東京都港区麻布台1の2の3麻布台ヒルズ レジデンスA1階(☎03・5544・8215)。1134円。午前11時~午後8時(カフェはラストオーダー6時まで)。東京・丸の内、銀座、池袋にも店舗。