小田急線の町田駅からよく行く古本屋さんまでの一本道にあるお店です。本屋へ行く前の腹ごしらえや、「探していた本が見つかった」という安堵(あんど)感と共に立ち寄ることもあります。
こぢんまりとした店内はいつもすっきりとしていて、ご主人と奥さんがてきぱきと働いている。そんな様子がラーメンに表れているんですよ。簡潔でシンプル。「ちゃーしゅうめん」は、手作りのチャーシューと青菜、メンマ、のりがちょうどいい分量で載っている。スープは醤油(しょうゆ)味がしっかり。豚骨、比内地鶏、花カツオ、羅臼昆布を使っているそうで出汁(だし)が効いています。「味付たまご」を追加で頼むことも。食べるときは粗びきの黒こしょうをささっとかけていただきます。香りがチャーシューに合うんです。
お店の壁には、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」が飾られています。この詩に登場する「デクノボー」が店名の由来なのでしょうね。偶然ではありますが、宮沢賢治は私が詩の世界に惹(ひ)かれた大きなきっかけの一つ。そんなこともこの店を好きな理由かもしれません。
◆東京都町田市森野1の26の23(TEL042・727・0649)。
850円、味付たまご100円。
午前11時半~午後8時。
(日)休み。
はちかい・みみ 詩人・作家。
詩集に第7回鮎川信夫賞を受賞した「顔をあらう水」、「現代詩文庫・蜂飼耳詩集」(いずれも思潮社)、文集に「おいしそうな草」(岩波書店)などがある。