大阪に生まれ、香川県出身の母が打つうどんを食べて育ちました。
20年近く前、仕事帰りのタクシーから「四国」と名の付くうどん屋を見かけて気になっていたところ、ここは大ファンである忌野清志郎さんの行きつけのお店と聞いて、通い始めました。
いつも、映画の撮影が終わった後に、一人で「おつかれさま」をしに行きます。新作「幼な子われらに生まれ」の撮影後も食べに行きました。ホッとする味です。もっとこうすればよかった、ああすればよかった……なんて思い返しながら、つるつるっとうどんをすすります。時にはおつゆの中に涙が落ちたこともありました。
コシのある麺と、たっぷりのお肉、お揚げのちょっと甘く炊いた感じ。関西人にとって、お揚げは特別。うどんには欠かせません。いりこの出汁(だし)にお揚げと肉の油分が広がって、ネギが絡む。このバランスが絶妙でおいしい。
映画の中でも食べるシーンは大切にしています。何をどんな風に食べるのか、そこから見える人物像って結構あると思うので。
◆東京都中野区本町4の36の3(TEL03・3380・4598)。
950円(昼は900円)。
午前11時半~午後3時、6時半~午前0時。
(日)(祝)休み。
みしま・ゆきこ 映画監督。
代表作に「しあわせのパン」「ぶどうのなみだ」「繕い裁つ人」など。最新作「幼な子われらに生まれ」が全国で順次公開中。