旬の秋ナス、ぷりっとしたエビがたっぷりと入っていて、トマトソースは少し辛口です。小食の私には量がほどよく、不思議と胃にもたれません。
スパゲティはあまり得意ではないんです。でも以前、コースの前菜でナスのスパゲティが出たことがあって、それがとても気に入り、また食べたいと思っていました。ナスにひかれて頼んだら正解。品書きは季節で変わり、これは夜だけの秋のメニューです。
初めて訪れたのは10年ほど前。翌日書店に並ぶ本が売れないような気がして、担当の編集者さんに先に謝っておこうと、ランチに誘ったんです。相手がイタリアンを希望したので、ここなら駅にも近くていいかなと。二人で本の心配をしながらも、なんだかおいしいねって食べた記憶があります。売れていると連絡があったのは、その翌日でした。それ以来、本が売れるか不安な時やお礼をする時などに、編集者さんとよく利用しています。
ちょうど最新刊は、あのときの本のシリーズ4作目です。私にとって、縁起のいいお店です。
◆東京・新宿の小田急百貨店新宿店本館13階(TEL03・3345・8735)。
1850円、コース5100円~(夜のみ、11月30日まで販売予定)。サービス料別。
午前11時~午後10時半(9時半ラストオーダー)。
なかの・きょうこ 作家、独文学者。
監修を務める「怖い絵展」が上野の森美術館で開催中(12月17日まで)。近著に「名画で読み解く イギリス王家 12の物語」(光文社新書)。