一言に「おいしい」といっても色々で、たじまさんのおそばは身を引き締めてくれる味。食べた後にスッと背筋が伸びる感じがするんです。
滋賀県出身で、4歳で大阪に移ってから上京するまで関西だったこともあってか、海外撮影などから日本に帰ってくると一番に欲するのが、おだしなんですね。ここは、カツオとムロアジ、サバの3種類がブレンドされていて、とってもやさしい味。「玉子とじ」は、そばの上にふわっふわの卵とのりが少し乗っていて、ネギとワサビが小皿に添えられているだけ。洗練されたシンプルさがまたいいんです。
お酒好きな私にとって、ここの旬の一品もオススメ。味は無論のこと、過度なく食材と向き合われている姿勢と丁寧な仕事ぶりが伝わってきます。
たじまさんに通うのは、きれいな仕事への敬意でもあるんです。仕事に向かう精神性が表れていて、私はそういったものを写真に残していきたいと思うから。だから、いつも食事をいただいた後は「私もこんな風に美しい仕事がしたいな」って気持ちになるんです。
◆東京都港区西麻布3の8の6(TEL03・3445・6617)。
880円。
午前11時半~午後2時半、5時半~9時半((祝)は8時半まで、ラストオーダー)。
(日)と毎月最終(月)休み。
かわうち・りんこ 写真家。
近著に写真絵本「はじまりのひ」(求龍堂)。7月4日午後7時、東京・西麻布のRainy Day Bookstore & Cafeで「田尻久子+川内倫子トークイベント」を開催。