調理例
「武生製麺」の越前産五割そば
13歳まで大阪で育ったんですが、父の仕事の都合で、福井県武生市(現・越前市)に引っ越して、初めておそばってこんなにおいしいものかと思いました。関西だったのでそれまでは麺といったらうどんだったんですね。いきなり、うどん派からそば派に転向してしまいました。
福井では、つめたいおそばに、なるべく辛い大根おろしとかつお節を載せて、たれはつけずに、かけて食べるんです。それが作法というか大根おろしをからませてそばを頂く感じで。
この「越前産五割そば」は、年越しそばに毎年必ず食べています。私、越前市のふるさと大使を仰せつかっていまして。「ふるさとを思い出してください」と、毎年送ってくださるんです。年末は、両親の住む仙台に、このそばを持って帰省します。田舎そばというか、そば本来のうまみや香りがして、素朴なパンチがきいていますね。色もわりと強い色でそばの味が前面にでている感じです。
私は福井でおそばのおいしさを教えてもらったなあ、と思います。
◆福井県越前市真柄町7の37(TEL0120・220272)。
取り寄せ可。
6食3520円(送料込み、一部地域で追加送料)。
たわら・まち 歌人。
大阪府生まれ。近著に近代歌人、若山牧水の評伝「牧水の恋」(文芸春秋)。近年は絵本の翻訳も多く手がけ「クマと森のピアノ」(ポプラ社)などがある。