森鴎外記念館(東京都文京区)に何度かイベントに伺っていて、昔ながらのお店と新しいお店が両方あるこの町の雰囲気が楽しくて、去年の4月、仕事場を移しました。地元の方にこの店を教わってから、ひとりでさくっと食べたい時や、友人や家族とも気軽に利用しています。ツツジで有名な根津神社のすぐ近くなので、お参りや谷中・根津・千駄木の「谷根千」観光、外国の人もよく来ています。
讃岐うどんは硬めで太いのが特徴ですが、こちらはコシがあって太すぎずつるつるしていて、女性にも食べやすいですね。ぶっかけもありますが、基本的にうどんは温かいのがいいです。ちく玉天うどんは、最初はちくわのサクサク感を味わって、ちょっとおつゆに入れてじわっとした変化を楽しみます。卵の天ぷらも半熟で、あれはなかなか難しそう。きれいにあがっていて感動的な感じです。ほかには、鴨肉好きなので九条ネギがざくざくのっている「鴨ねぎうどん」も好きです。
築60年だという古い家を改装した店内は、落ち着いた上品な感じで、静かに讃岐うどんを楽しみたい時にいいですね。
◆東京都文京区根津1の23の16(問い合わせは03・3822・9015)。
870円(昼7、夜3の1日10食)。
午前11時~午後3時、5時半~8時50分(いずれもラストオーダー)。
ひがし・なおこ 歌人・作家。
著書に小説「とりつくしま」(ちくま文庫)、エッセー「千年ごはん」(中公文庫)など。6月29日に東京都千代田区の内幸町ホールで上演の朗読劇「晴れ女の耳 紀ノ国奇譚」に作・出演。