最近は都内にも奄美料理のお店が増えてきたんですけど、土濱さんは「あたたかい料理が食べたいな」って思ったら行きたくなる味。東京に住んでから、もう10年くらい通っています。
ここの料理はミャンマー出身のマスターが作っているんです。でもミャンマーと奄美の味と近いのか、「ふるさとの味」って感じがするんですよね。
油ぞうめんは奄美の代表的な郷土料理なんですが、家庭ごとで味が違っていて、私の実家ではイリコの香りをバーッと立たせてから作るんです。土濱さんの味はしょうゆの印象が強くて少し違いますが、食べると落ち着くし、島に帰ったような安心感がありますね。
奄美ってよく沖縄と混同されがちですけど、風土も文化も、沖縄とも本土とも違う独自のものがけっこうあって。「島唄」も元は奄美の人々の生活の中から生まれてきたブルースなんですよ。たまにお店の三味線を借りて仲間内で歌うこともありますが、お酒と島料理と音楽、三位一体で聞いて、奄美の魅力を感じてほしいですね。
◆東京都渋谷区神泉町12の4の2階(問い合わせは03・6416・1027)。
750円。
午後5時半~11時45分(ラストオーダー11時)。
(日)(祝)(休)休み。
きずき・みなみ 歌手。
鹿児島県奄美大島出身。NHK大河ドラマ「西郷どん」では紀行テーマ、劇中歌を担当。11月から東京、名古屋、大阪、札幌、仙台、福岡を回る「ウタアシビ 10周年記念ツアー」を開催。