大阪の人間ですからね。麺といえば、やっぱりおいしいお出汁のうどん。もちろん大阪においしい店はたくさんありますけど、このあんかけ汁ののっぺいうどんは別枠で。素朴な味が癖になって「滋賀の長浜」と聞けば食べたくなる。近くに行く時は必ず寄ります。
姉弟子の地元が長浜の近くでね。30年くらい前に、店の2階で土地の人を交えて宴会をした時に、皆が「締めは絶対のっぺいうどんだ」って頼んだのが最初。15センチはありそうなでっかいシイタケが「でん」とのった見た目に衝撃を受けましたよ。くずでとろみをつけたショウガ風味の出汁は、とにかく熱くてすぐには食べられないけど、冷めるまで待つなんてできません。お椀によそいながら少しずつ食べて、でもシイタケにはかぶりつきますね。夏に食べたときは、毛穴という毛穴から汗が噴き出しそうなくらい熱かった。
演奏前は、食べ過ぎると声が出なくなるから、するする入る麺類がちょうどいい。琵琶は敷居が高く感じられがちですが、琵琶ほど素朴な楽器はないと思います。題材も素朴な歴史物語。気軽に楽しんで聞いてほしいですね。
◆滋賀県長浜市元浜町7の15(問い合わせは0749・62・0232)。
1100円。
午前10時半~午後6時。(祝)を除く(火)休み。
おくむら・きょくすい 筑前琵琶奏者、人間国宝。
普及や弟子育成にも尽力する。5日、大阪・国立文楽劇場で若手奏者と共演する「光の会」。6日に福岡・久留米座で、12月22日に東京・紀尾井ホールで演奏会。