実家では大みそかになると、必ずこちらで年越しそばをいただいていました。父(六代目尾上松助)の生前、家族でよくうかがった、思い出の詰まったお店です。
父が頼んでいた鴨(かも)せいろを、私も自然と好きになりました。つけ汁は3種のかつお節からとっただしが利いている、濃いめの味。そばをすするとユズの香りがふわっと立ちます。おつゆの中に入っているネギもおいしいです。父はせいろから箸にとったそばをつけ汁の器の縁に置き、親指を押し当てて切って食べていました。江戸っ子の食べ方なのか分かりませんが、「こうやって食べるんだよ」と、教えてくれました。
もう一つ父の影響を受けたのが「鮪(まぐろ)山かけ」。父は決まってお酒のつまみに食べていました。子どもながらにおいしそうに思えて「ちょっとちょうだい」なんて言って分けてもらっているうちに私もハマってしまって。この2品はうかがうたびにいただきますね。
新派の初舞台を踏んでからは、なかなかうかがえていません。ぜひまた家族そろっておじゃましたいです。
◆東京都中央区銀座6の4の12の2階(問い合わせは03・6264・5215)。
1485円。鮪山かけは957円。
午前11時半~午後3時、5時~10時[(土)(祝)(休)は9時まで。いずれもラストオーダーは30分前]。
(日)休み。
はるもと・ゆか 俳優。
2016年劇団新派に入団。来年1月2日~20日、東京・日本橋の三越劇場で上演される初春新派公演「明日の幸福」に出演。