私はいつも朝ご飯を食べません。そのまま仕事をして、夕方に1食目を食べることもあります。このお店に出合った日もそんな状況でした。神田の神保町で企画展の打ち合わせをして、終わったのは夕方4時。とても空腹で、街をふらふら歩き、お店から漂ってくる雰囲気にピンと来て入りました。
煮干しのだしが利いたスープ、空腹に染み入りました。自家製の麺は弾力がありツルツルした食感。「超多加水麺」といって一般的な麺に比べて多くの水を入れて打っているそうです。トッピングのお肉は、鴨ロース、豚もも、豚ヒレ、豚バラの4種から、好きな3種が選べます。どれもおいしいですが、私のおすすめは鴨。ぜひ試してみてください。
私にとって「あじわう」とは、舌の上を超えて広い意味を持ちます。単に料理や食材だけではなく、それらとの出会いや食べる理由といったストーリーを含む「体験」があじわいとなる。このラーメンは、味はもちろん、「空腹で、よく知らない街で、偶然出合った」というシチュエーションを含めたあじわいが、私にとってイケ麺でした。
◆東京都千代田区神田神保町1の6。
980円。
午前11時~午後9時((土)(日)(祝)は8時まで)。
年末年始を除き無休。
すわ・あやこ アーティスト。
食の新たな価値観を提案する活動「フードクリエイション」を主宰する。18日~3月22日、東京・銀座の資生堂ギャラリーで個展「記憶の珍味」を開催。