読んでたのしい、当たってうれしい。

現在
62プレゼント

木村衣有子さん
「東京うりずん」の沖縄そば

「東京うりずん」の沖縄そば
「東京うりずん」の沖縄そば
「東京うりずん」の沖縄そば 木村衣有子さん

 琉球料理のお店には学生の頃からよく行っています。年明け、久しぶりに沖縄に旅行して、このお店の那覇の本店に入りました。そこでは沖縄そばではなく別の料理を食べたのですが、戻ってきてから東京にもお店があることを知って、早速食べに行きました。

 麺には、黒色の粒々がうっすら透けて見えます。店員さんに聞いたら、ガジュマルの木の灰汁(あく)を使って、全粒粉を練っているのだそう。水を張ったバケツに木の灰を入れて、一晩置いて沈殿させ、その上澄みを練り込んで麺を作る。最近は一般的な「かん水」を使う製麺がほとんどだそうですが、このお店では伝統的な製法の麺を使っているそうです。かみしめた時、日本酒で言う「含み香」のような、鼻から抜ける良い香りがしました。だしは、豚骨とカツオをいい塩梅(あんばい)で合わせてあって、こちらも気に入りました。

 黄色と赤色のお箸も特徴的。器は沖縄のやちむん(焼き物)で、大きくて背が低めのマカイ(茶わん)。骨太でがっしりしていて、かっこいいんです。暑くなったら、家でも琉球料理に挑戦してみようと思っています。

 ◆東京都千代田区丸の内1の5の1、新丸ビル5階(問い合わせは050・3464・9708)。
 900円。
 午前11時~午後3時(2時半ラストオーダー)、5時~翌午前2時(0時50分ラストオーダー)。
 無休。


 きむら・ゆうこ 文筆家。
 1975年生まれ。書評と食文化が専門。著書に「味見したい本」(ちくま文庫)、「キムラ食堂のメニュー」(中公文庫)、「コッペパンの本」(産業編集センター)など。

(2020年2月27日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)