ずいぶん昔、私が大学3年生で結婚した(夫の演出家、故・和田)勉さんが東京に転勤になるまでよく通いました。初めて行ったのは中学生くらいのとき。当時は甘味処で、公楽小劇場(2009年に閉館した東宝公楽劇場)で映画を見た帰りに寄っていました。
今は、ファクスで「きざみうどん」を注文して取り寄せています。広島のオタフクソースを使った「京風お好み焼き」もおいしいので、それぞれ二つずつ頼みます。どちらもあまり日持ちしないから、着いたその日か数日中に急いで食べちゃわないと。たっぷりの九条ネギと拍子木切りに刻んだお揚げが入っているだけのシンプルなおうどんだけど、やっぱりだしがおいしい。利尻昆布などで煮出した薄味のだしで、なんだかほっとするんです。ずっと変わらない味ですね。
北京のアトリエや欧米各国での仕事先から戻ると、近くのスーパーで新鮮なお肉や果物、野菜を買ってきます。小食なので、1日5食少しずつ食べるのを4、5日続けて胃を整えてから、冨美家にファクスを入れるのが定番の流れ。一息つけて落ち着きます。
◆京都市中京区に本店と錦店
(問い合わせは075・221・0354)の2店。
錦店のみで提供の「刻みあげうどん」は748円。
通信販売は冷蔵の「きざみうどん」(432円)。
ワダ・エミ 衣装デザイナー。
1937年京都府生まれ。86年、黒澤明監督の「乱」でアカデミー賞最優秀衣装デザイン賞。2019年、「ある船頭の話」などで第42回山路ふみ子映画功労賞受賞。