エスニック料理の取材で、お店のおすすめメニューとして初めて食べました。こんなにおいしいものがあったのかと衝撃でしたね。
米粉の平打ち麺に薄切りのレアの牛肉とオニオンスライスをのせて、熱々の牛肉のスープをジャーッとかけるんです。あっさりと薄味だけどコクがあるスープに肉のうまみが溶け出して、まるでしゃぶしゃぶみたい。スープにお肉、みずみずしいタマネギ、全てが完璧で互いのうまみを引き立てています。
ライムと唐辛子で味を変えながら頂きます。別皿で付くシャッキシャキのもやしを浸しながら食べると、お肉の柔らかさ、麺のもちもち感との食感の違いも楽しめます。味にも食感にも、1杯の麺の中に楽しみのグラデーションがあるんです。南ベトナム出身のオーナーが忠実に再現する故郷の味は、深く優しい味わい。近くで仕事があれば立ち寄る時間を捻出します。どっちが重要なんだか(笑)。
エスニック料理は未知の味だからこそ、材料は、味付けは、とお店の人との会話が弾み、新たな発見があります。食は異文化との距離をぐっと縮めてくれますよね 。
◆東京都千代田区内幸町2の1の1の地下1階
(問い合わせは03・6206・1461)。
1320円。宅配サービスも。
午前11時~午後2時(6月中は土曜休み)、5時~10時(平日のみ)。
日曜祝日休み。
臨時休業あり、要問い合わせ。
やすだ・なつき フォトジャーナリスト。
6月20日にオンラインイベント「世界難民の日 食を通して伝える難民の声」を開催。著書に「故郷の味は海をこえて 『難民』として日本に生きる」(ポプラ社)。