かれこれ30年は通っている店。ギョーザ、麻婆豆腐、おかゆ、なんでもおいしいけれど、中でも牡蠣ソース和えソバは絶品です。具は細かく刻んだネギとしょうがだけ。こしのある細麺にオイスターソースが絡まり、香りもよく、脂っこくなく、本当に飽きない味。何週間にいっぺんは「嘉賓にする?」って、家族としょっちゅう食べています。
コロナ以前、主宰するトークと朗読のイベント「カタリココ」の新年会は毎年ここで行っていました。一通り料理を食べた後、締めに必ず頼むのがこの和えソバ。すごくシンプルなので最初は「麺だけ?」ってぎょっとされるんですが、食べてみると皆、おいしい、おいしいって。見た目と味のギャップに驚いて、面白がってくれるのもいいですね。
最近は書評の仕事が多く、締め切り前は決まって近所のコーヒーショップへ。お気に入りの席があって、そこだと充実して読めるんです。午前中の1、2時間集中したら自宅へ戻って昼ごはん。以前は外食していたけれど、コロナもあって最近は減りましたね。でも週末になると嘉賓の和えソバが食べたくなり、テイクアウトすることも。見た目からは想像もつかない、奥行きのある味わいです。
◆東京都新宿区四谷1の7の2階(問い合わせは03・3358・7912)。
昼840円、夜880円(いずれも単品価格)。
午前11時~午後2時半、5時~10時半(ラストオーダーは9時45分まで)。
無休。
おおたけ・あきこ
ノンフィクション、エッセー、小説、写真評論などを手がける作家。著書に「間取りと妄想」(亜紀書房)、「須賀敦子のミラノ」(河出書房新社)他多数。2019年に自主制作出版の「カタリココ文庫」をスタート。
カタリココ文庫