日本テレビの記者からキャスター業に就いた頃、取材のちょっとした合間に立ち食いそば店へ行くようになったんです。チェーン店や有名店、雰囲気のいいのれんを見かけてふらっと入ることもありますね。季節ごとに新しいメニューがあるので全然飽きなくて。「立ち食い」といっても、店内には椅子が置いてあるところも意外と多いんですよ。
一人で訪れる客がほとんどで、それぞれ背景が異なる人たちが黙々とそばをすする独特な雰囲気に、不思議な魅力を感じています。武士の交差点というか、戦士たちの「止まり木」のような癒やしの空間だと私は思っています。
「そばよし」さんは、やっぱりおつゆのおいしさが衝撃的でした。ご飯のふりかけとして出てくるかつお節粉も絶品なんです。子どもの頃、祖母の手伝いでギーコギーコとかつお節を削っていたことを懐かしく思い出したりして。
ここの「ちくわ天」は、大きさもすり身の弾力感も、衣からほのかに香る青のりも全部が理想形。パッと来てサッと食べ終えた後の満足度に「ギャップもえ」できるのが、立ち食いそばの一番の魅力かもしれません。
◆日本橋店 東京都中央区日本橋本町1の1の7の1階(問い合わせは03・3241・0884)。
410円。
午前7時半~午後8時。
土日祝休み。
ほか、神谷町店、京橋店あり。
きしだ・ゆきこ フリーキャスター、ジャーナリスト。
「中居正広のニュースな会」(テレビ朝日系)など報道・情報番組に出演中。近著に「スウェーデンに学ぶ『幸せな子育て』子どもの考える力を伸ばす聴き方・伝え方」(三笠書房)。