京都はラーメン激戦区です。みんなそれぞれ好みによって、推しは分かれると思うんですけど、第一旭は行列していないときなんて無いんじゃないかっていうくらい、本当に昔っから人気があります。京都に旅行に来るとスーツケースをひっぱって、まず第一旭に行くひともいるみたい。
王道のしょうゆラーメンです。スープの色だけ見るとちょっとしょっぱそうに見えるんですが、そんなことはなく、あっさりしつつ、コクがある。チャーシューは薄切りでジューシー。安心する味です。私はラーメンよりまずビール。ラーメン屋では生じゃなく、瓶って決めているんですよ。なんだかその方がおいしい感じがするじゃないですか(笑)。
若いときは夜遊びした後のシメに食べていました。でも今では、脱稿したときや疲れてやる気がでないときに「よし、今日はラーメン食べよう!」って思って食べるご褒美的なものになりましたね。
「お袋の味」っていう言葉があるように、食べ物って、それを食べたときの記憶と一緒になっています。ずっとある老舗だから思い出も詰まってる。おいしいのはもちろんですが、味だけではちょっと語りきれないです。
◆京都市下京区東塩小路向畑町845(問い合わせは075・351・6321)。
800円。
午前6時~(翌)午前1時。
(木)休み。
公式ホームページで「お土産用生ラーメンセット」が通販可。
なぎら・ゆう 小説家。滋賀県出身。
2020年に本屋大賞を受賞した「流浪の月」(東京創元社)が映画化され、公開中。最新作「汝、星のごとく」(講談社)が8月刊行予定。