私は実は、すごい「そばっ食い」。大学生の時にそば屋巡りをしていたほどです。そばつゆのかつおの香りにそそられて。
この店を初めて訪れたのは高校生のとき。母校の東洋英和女学院が近く、母と食べた覚えがあります。つゆは濃いめの江戸前で、しょうゆとかつおのバランスが絶妙。麺はコシがあるのにつるっとしたのどごしです。
最初にぽちゃっと天ぷらをつゆに入れるんです。すると衣の油がちょっと入るじゃないですか。香ばしくなったつゆにそばをくぐらせると、ますますおいしくなります。プリッとした小エビも食べやすくて。夜はつい鴨(かも)焼きもいただきますね。
翻訳家だった祖母の村岡花子もそばが好きでした。私も本を書く仕事なので、昼はおそばで腹八分目がほどよくて。眠くなりませんから。庶民的な雰囲気の店内は居心地もよく、短時間で満足できるのが好きです。
◆東京都港区元麻布3の11の4(TEL03・3403・3401)。
1740円。
午前11時半~午後8時半。無休。
むらおか・えり 作家。
著書「アンのゆりかご 村岡花子の生涯」がNHK朝ドラ「花子とアン」の原案となった。