「風に立つライオン」(三池崇史監督)で、日本に残した恋人への思いを胸に、ケニアで医療に従事する医師・航一郎を演じた。
「風に立つライオン」はもともとは、1987年にさだまさしが実在した医師をモデルに作った楽曲。その曲を小説化したものが映画の原作だが、きっかけは大沢が作った。
愛や怒りなど人間の本質や心の機微がつづられている歌詞に感動した大沢が、歌の世界の背景にどんな物語があるのかを深く知りたいと、以前からつきあいのあったさだに曲の小説化を持ちかけた。そして映画化され、知りたかった世界観を主役として表現することになった。
ケニアでの撮影は約1カ月間。宿泊先のナイロビから車で片道2時間半の現場に通い、昼は炎天下、夜は凍えるような寒さの中で、十分な睡眠や水を飲むこともままならなかった。そんな過酷な状況が、出演者に、計算ずくの演技ではなく、感情をありのままに出す演技へ向かわせたと振り返る。
航一郎は、劇中で何度も「ガンバレ、ガンバレ」と叫ぶ。「誰も助けてくれない状況や恋人への思いを込めて、自分自身に言い聞かせていたんだろう」と、異国でただ一人、過酷な医療現場に身を置いた航一郎の胸の内を推し量った。
「誰でも何かと闘わないといけない」。夢や理想を求めて闘った航一郎を通して、「見てくれる人たちもきっと共感できるんじゃないかな」。
取材・文/大野紗弥佳
撮影/高嶋佳代
プロフィール
おおさわ・たかお
東京都生まれ。俳優。1994年のドラマ「君といた夏」で俳優デビュー。以後、ドラマや映画で活躍。今年のNHK大河ドラマ「花燃ゆ」では小田村伊之助を演じる。
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