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日韓共演ドラマが続々 「愛のあとにくるもの」 日本でも配信始まる

 日本と韓国の俳優が共演するドラマが続々作られている。坂口健太郎とイ・セヨンが主演を務めるドラマ「愛のあとにくるもの」もその一つ。韓国の動画配信サービスCoupang Play(クーパンプレイ)のオリジナル作品で人気俳優の顔合わせに注目が高まる。日本でも10月11日からPrime Video(プライムビデオ)で配信が始まった。

 原作である同名小説「愛のあとにくるもの」がそもそも日韓のコラボ企画だ。一つの物語を辻仁成が男性主人公の視点で、孔枝泳(コン・ジヨン)が女性主人公の視点で描いた恋愛小説で、2005年、日韓国交正常化40周年記念にハンギョレ新聞で連載され、両国で出版もされた。辻仁成と江國香織の小説「冷静と情熱のあいだ」の日韓版のようなものだ。

 

 

 タイトルから想像できる通り、「愛のあとにくるもの」は男女が別れたのちの物語が主軸だ。ホン(イ・セヨン)は日本に留学していた時、小説家を目指す大学生の潤吾(坂口健太郎)と付き合っていた。別れて5年の時をへて小説家となって韓国にわたった潤吾は、ホンと偶然再会する。ホンは潤吾を忘れようとしていたが、潤吾は後悔でいっぱいだった。

 演出は、世界卓球選手権の南北統一チームの実話をもとにした映画「ハナ~奇跡の46日間~」(2012)などで知られるムン・ヒョンソン監督。撮影監督をはじめ、メーンは韓国のスタッフだが、日本で撮影した際は日本のスタッフも約20人参加した。撮影期間は韓国で2カ月、日本で2カ月だった。

 助監督を務めた松倉大夏さんはこれまで海外との共同制作を経験し、監督を務めたドキュメンタリー映画「ちゃわんやのはなし-四百年の旅人-」(2024)の撮影を韓国でしたこともあるが、韓国ドラマの制作に参加するのは初めて。「日本の映画やドラマのスタッフの間には、国内だけを見ていたら今後の作品づくりは難しいという閉塞感がある。一番近い国でもある韓国の映画やドラマがこれだけ世界中に広がっているので、モデルケースとして一緒にやって学びたい気持ちもあった」と話す。

 監督がスタッフにそれぞれ脚本を読んでアイデアを出すよう求めたり、撮影許可が下りなくても粘り強く交渉したり、作る過程で文化の差を感じることも多かったという。特に、日本のメーン舞台となった井の頭公園は、長い交渉の末に撮影が許された。「あきらめないで粘った結果、とてもいい映像が撮れて勉強になった」と松倉さん。

 

 

 主人公の会話は基本的に日本語だ。イ・セヨンは日本語を学び、松倉さんが「めちゃめちゃ上手だった」と絶賛するほど上達した。坂口健太郎はセリフに韓国語は必要なかったが、韓国で人気という理由もあってか、ある程度は話せるようで韓国のスタッフと韓国語でやりとりしていた。坂口が主演した映画「余命10年」(2022)は韓国で観客動員数50万人を超えるヒットを記録し、今回のドラマ主演でさらに韓国での認知度が上がりそうだ。

 日韓の俳優が共演する作品が増える韓国側の事情としては、韓国の主演級俳優の出演料の高さを指摘する声がある。例えば、今年の大ヒットドラマ「涙の女王」で主演したキム・スヒョンの出演料は全16話で約50億ウォン(約5億5千万円)だった。それに比べると日本の主演級俳優の出演料は安いというのだ。

 日韓両国で話題になるメリットもある。今年はTBSドラマ「Eye Love You」に二階堂ふみと共にチェ・ジョンヒョプが主演し、韓国でもNetflixを通じて配信され、注目を集めた。

 さらにNetflixは、まだタイトルは発表されていないが「Netflix新作ロマンスシリーズ」として、主演に小栗旬、ヒロインにハン・ヒョジュを迎えたドラマを制作中だ。小栗旬は過去のトラウマから潔癖症を抱えた大手菓子メーカーの御曹司、ハン・ヒョジュは視線恐怖症を抱えた天才ショコラティエを演じる。原作はフランス映画「匿名レンアイ相談所」。対人関係に悩みを抱えた男女がチョコレートをきっかけに出会うロマンチックコメディだ。

 

 

 演出は映画「君の膵臓をたべたい」(2017)などで知られる月川翔監督。 Netflix映画「ロ・ギワン」「20世紀のキミ」などを企画・制作した韓国の制作会社YONG FILMが手がけ、2025年、Netflixにて全世界に配信される。

 

成川彩(なりかわ・あや)

 韓国在住文化系ライター。朝日新聞記者として9年間、文化を中心に取材。2017年からソウルの大学院へ留学し、韓国映画を学びつつ、日韓の様々なメディアで執筆。2023年「韓国映画・ドラマのなぜ?」(筑摩書房)を出版。エッセー「映画に導かれて暮らす韓国——違いを見つめ、楽しむ50のエッセイ」(クオン)が今月末に刊行。

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