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恐竜化石【下】 福井県立恐竜博物館

「福井産」の恐竜 発掘、展示

【写真上】フクイベナートル・パラドクサス全身復元骨格(レプリカ) 【写真下】実物化石
【写真上】フクイベナートル・パラドクサス全身復元骨格(レプリカ)
【写真下】実物化石
【写真上】フクイベナートル・パラドクサス全身復元骨格(レプリカ) 【写真下】実物化石 カマラサウルス 全身復元骨格(実物化石)

 日本各地でも、恐竜化石が発見されているのをご存じでしょうか。福井県立恐竜博物館は、同県勝山市で産出した恐竜化石を調査・研究し、展示するため、発掘現場近くに建てられた博物館です。

 1989年から2016年にかけて行われた発掘調査で、5種の恐竜化石が発見されました。同館では、フクイやカツヤマの地名を含む学名がついた「福井産」の恐竜化石を展示しています。これまでに日本で発見され、学名がついた恐竜は7種なので、その多さが分かります。

 おすすめは、全長約2・5メートルの小型獣脚類、フクイベナートル・パラドクサスです。2007年に白亜紀前期(約1億2千万年前)の地層から見つかり、16年に正式に命名、発表されました。全身骨格の7割がそろっており、国内で発掘された恐竜化石の中では、非常に貴重な存在です。特に頭骨の後部の保存状態が良く、脳が収まっていた脳函(のうかん)をCTスキャンで解析した結果、鳥類に匹敵するほどの聴力を持っていたことが分かりました。

 カマラサウルスは、ジュラ紀後期(約1億5千万年前)に生息した植物食恐竜です。2007年に米ワイオミング州で発見され、埋まった状態のままの化石を購入し、掘り出しから組み立てまでを同館で行いました。

(聞き手・根津香菜子)


 どんなコレクション?

 展示面積は約4500平方メートル。恐竜の系統をほぼ網羅する44体の全身復元骨格のうち、9体が実物化石を含む。博物館は、勝山市にある「かつやま恐竜の森」内に2000年開館。

 フクイベナートル・パラドクサスの全身復元骨格(レプリカ)と実物化石、及びカマラサウルスの全身復元骨格(実物化石)は常設展示。

《福井県立恐竜博物館》 福井県勝山市村岡町寺尾51の11(TEL0779・88・0001)。午前9時~午後5時(15日~8月31日は8時半~6時。入館は30分前まで)。720円。第2・4(水)((祝)の場合は翌日)休み。7月13日~8月31日は無休。

田中真士さん

恐竜専門サイエンスコミュニケーター 恐竜くん

本名・田中真士(たなか・まさし) 16歳でカナダに渡り、アルバータ大学で古生物学を中心に学ぶ。恐竜展の企画・監修を務めるほか、テレビやラジオに出演。著書に「知識ゼロからの恐竜入門」。

(2017年7月11日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)