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【試食会レポ】あんこう鍋を試食

 

 茨城県の郷土料理、あんこう鍋。あんこうは「西のふぐ、東のあんこう」と並び称されるほどの高級魚でもあり、茨城を代表する冬の味覚です。11月~翌年3月ごろになると海水温が下がり、肝が肥大化していきます。脂がのるあんこうは、旬をむかえています。

 

 

 東京・銀座1丁目にある茨城県のアンテナショップ「IBARAKI sense」でこの程、あんこう鍋の試食会がありました。鍋の具材は星の数ほどあるなかで、あんこうは初めての経験です。試食を前に、あんこうの紹介がありましたが、ぎょろっとした目、大きな口……見た目はちょっとグロテスク……。

 

 

 ところが、まもなく提供されたあんこう鍋には、淡泊で引き締まった身がぎっしり詰まっていました。2種の味噌に加えて、あん肝が溶け合った濃厚でクリーミーなスープが絶妙です。コラーゲンがたっぷり含まれ、脂肪が少ない、低カロリーのヘルシーフードと聞いて、強面の見た目にも少し愛着を覚えました。

 「高級魚のイメージがついていますが、茨城県の海岸沿いではあんこうの水揚げが多く、浜にずらりと並ぶ風景はかつては冬の風物詩になっていました」と、茨城県営業戦略部プロモーションチーム主任の沼田裕樹さん。茨城県北東部にある平潟や大津など、県全体では底引き網で1年間に約80トンの漁獲量を誇っています。沿岸の常磐沖では、黒潮と親潮が交わり、あんこうのえさになる魚が多いため、「常磐もの」と呼ばれ、高い評価をうけています。

 あんこうは、骨以外は全て捨てるところなく食べることができる食材としても知られています。肝、胃、皮、ヒレ、エラ、卵巣、身は「七つ道具」と呼ばれ、それぞれ風味を活かした調理法で料理されています。食感の違いを楽しめるのも魅力です。

 茨城県では、あんこうをさばいていく様子を撮影したPR動画をつくっており、試食会でも放映されました。あんこうは全身のぬめりが強く、まな板からすべり落ちてしまいやすいため、口の部分を紐で固定して宙につるします。回転させながら包丁で手早く皮をはいで、 体のパーツを1つずつはがしていくと、あっという間に歯と骨だけになりました。この「吊るし切り」はショーとして大洗町など茨城県内各地で見ることができるそうです。ぜひ、現場で迫力満点の伝統技を見てみたいと思いました。

 

 

 IBARAKI senseでは、店内のBARA diningで季節限定メニューとして提供中です。「いばらき冬の味覚あんこう鍋コース」(約10品、6600円)と「あんこうと茨城野菜の小鍋とつくば鶏の香味焼き御前」(1800円)の2品です。「あんこう鍋コース」は、あんこうと茨城野菜の小鍋のほか、茶碗蒸し、冷菜、あんこうの唐揚げなど約10品が並びます。

 料理長の三澤晋さんは「茨城にゆかりある人だけでなく、あんこうをまだ食べたことがない人にも食べて欲しい。最後はスープをごはんと一緒に食べるのもおすすめです」と話しています。(佐藤直子)

 

 

 

 

あんこう料理いろいろ

どぶ汁…あんこうの身と野菜から出る水分に味噌を加えて煮込む。あんこう鍋との違いは水を使わないこと。水が貴重な海の上で漁師が舟で食べていた郷土料理。
からあげ…あっさりとした白身の部分、ゼラチン質の高い皮、ヒレなどを使用。ふっくらと柔らかな食感を楽しめる。
あん肝…部位の中で珍重。淡泊な身とは異なり濃厚、口溶けもなめらか。脂がのっていると海のフォアグラとも呼ばれる。
共酢(ともず)…白身や皮やヒレ、胃をゆでて、肝や酢、味噌を合わせた共酢をつけて味わう。

 

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