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AKB48の大西桃香さん 日本酒エッセー

AKB48の大西桃香さんがエッセー「47の素敵な日本酒」(幻冬舎)を出した。各都道府県から一カ所ずつ47の酒蔵を選び、ひかれた酒を取り寄せて、味わって、つづった。写真集は2冊出しているが自身の文章が本になるのは初めて。「活字でいっぱいの本が出せたのがうれしい限りです」

 居酒屋でたまたま口にした日本酒でおいしさに目覚め、ウェブメディア「幻冬舎プラス」にエッセーを連載する依頼が舞い込んだ。第1回は兵庫県の酒蔵「櫻正宗」の「金稀(きんまれ) 純米大吟醸 四〇」を取り上げた。温度は常温。まず香りを楽しみ、口にすると「日本酒独特のツンとする感じがしなくて、でも口の中には甘さが残る」。そして「洋菓子に合わせてもおいしくいただけそう! パウンドケーキとか」と独自の酒の楽しみ方も提案してみた。

 

             奈良県のアンテナショップ「奈良まほろば館」で連載時に撮った写真を展示中

 

 新潟の久保田、山口の東洋美人、長野の真澄、岩手のあさ開、茨城の来福……。夜、取り寄せた日本酒をちびりちびりと飲みつつ特徴をメモし、日中の仕事の合間にカフェで文章にしていった。1200字ほどの原稿1本を書き上げるのに1時間半ほどかけた。月2本のペースで、2年にわたって一献傾けてはノートに向かった。最終回に取り上げたのは沖縄の黎明。「まろやかでどっしりとした印象」「キリッとした辛さもあり、渋みもあり、なんだか貫禄を感じます……!」と47回の連載を結んだ。

 

              東京・新橋の「奈良まほろば館」で

 

 見た目はどれも変わらないのに、ふわっと甘かったり、驚くほど辛かったり、まろやかだったり、さわやかだったり。日本酒は飲むまで味が想像できないのが楽しいという。回を重ねると「私は辛口が好きなんだ」と自らの指向がみえてきて、「連載の後半はお酒が辛口に偏ってしまった」と笑う。特に好みにどんぴしゃだったのはアルコール度数19・5度の宮崎県の千徳原酒。「ピリッと引き締まる感じ。キレがいい」と記した。

 

                             東京・浅草の隅田川べりでカップ酒

 

 書籍化のための写真撮影で東京・浅草に足を運んだ。観光名所の仲見世で食べ歩きしたことはあるが、酒を飲むのは初めて。気安い酒場が軒を連ねる通称「ホッピー通り」の街並みに「みんながお酒とこの場を心底楽しんでいる。居心地が良すぎです」と感激。「朝起きて散歩に出かけて昼から飲み始めて夜まで。一度やってみたい」

 「47の素敵な日本酒」はA5判144ページ、1650円(税込み)。

 

                              47の素敵な日本酒

                                              (桝井政則)