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「男たちよ、準備はいいか。」Wpc.が考える『男性向け日傘』のこれから

 

 2023年夏の平均気温は統計を取り始めてから過去最高となり、8月には熱中症で緊急搬送された人が全国で3万人を超えました。東京では毎日が真夏日や猛暑日となるなど、記録的な暑さが続きました。昨年に続き、2024年の夏も平年に比べて暑くなる確率が高いと予想も……。

 暑さ対策に有効なアイテムのひとつが、日傘。
 年齢、性別を問わず日傘が《夏の必需品》になったいま、男性向けの晴雨兼用傘ブランド「Wpc. IZA(ダブリュピーシー イーザ)」を展開するWpc.の広報担当・中村友香さんにお話を伺いました。


(前回記事「傘はファッション」

 

 

――男性に向けた傘ブランド「Wpc. IZA(イーザ)」について教えてください。

 

 「Wpc. IZA」は2021年3月から始まった晴雨兼用傘のブランドです。

 年々販売数を伸ばしており、1年目の販売数は5万本、2年目は12万本、3年目の2023年には40万本を超え、シリーズ累計販売数は57万本となりました。今年は80万本の販売を目標にしています!

 Wpc. IZAの1番のポイントは、晴雨兼用で両方の性能の高さを両立できているところ。
 雨傘としては、水をどれくらい弾くかを調べる撥水度試験で最高等級の5級を取りました。「晴雨兼用」と聞くと雨傘の機能が弱いのではと思われる方もいますが、安心して使っていただけます。

 

――「男性向け日傘」と「女性向け日傘」の違いとは?

 

 商品としてというより、ニーズが大きく違うと感じます。

 男性の中には、日傘を持つことに「恥ずかしい」「ださい」という固定観念を持たれている方もいて、「男性も日傘を!」と強く打ち出すと抵抗感を感じる方も。

 なので、日傘としての機能だけを前面に押し出すのではなく、晴雨兼用傘という側面から販売することにしました。まずは持ち歩いていただいて、暑い日の移動中などに一度日傘として使ってみてほしいです!

 

 

 「傘を持ち歩く習慣をつけてほしい」という思いから、Wpc. IZAの商品はすべて折り畳み傘で展開しています。

 男性の傘の利用状況をみると、コンビニでビニール傘を買ってすぐ捨てたり紛失したりと場当たり的に傘を購入している方も多いようなんです。その一方で、ある程度年齢を重ねると「いいものを長く使いたい」という方も増えてくるため、雨傘としても日傘としても長く使っていただけるように商品開発をしました。

 

――1番売れている商品はどれですか?

 

 「コンパクト」です。スマホと同じくらいのサイズで、昨年までの累計販売数のうちの半分を占めています。レディース商品も含め、コンパクトタイプはWpc.の中で毎年1番売れている形です。男性は鞄を持たずポケットに携帯や財布を入れているという方も多いと思うので、やはり小さい・軽いものが売れ筋ですね。

 

――「Wpc. IZA」の立ち上げのきっかけについて教えてください。

 

 ここ数年、大手雑貨店の店頭で男性向け化粧品・スキンケア商品などの売り場が拡大しているのを感じ、日傘もその中のひとつに入ることができるのではと思いました。また、近年の猛暑で環境省から「日傘を持って体調管理を」と呼び掛けがあったことも後押しになっています。

 Wpc. IZAは、Wpc.を統括している男性社員の「自分が使いたくなるような日傘を作ろう」という思いで企画が立ち上がりました。フットサルが趣味で、普段は全く日傘を使うような人ではないんですが……(笑)。

 

 日傘と聞くと、フリフリ、花柄、刺繡などのデザインのイメージが強いと思いますが、Wpc. IZAは海外のプロダクトデザインを参考にしました。無地やロゴのみのデザインと、ビジネスでも普段でも使いやすいシンプルなカラーで展開しています。

 

 

――Wpc. IZAのプロモーションではどんなことをされていたのでしょうか?

 レディース商品と同様に、店頭の展開に力を入れています。

 たとえば、昨年はハンズが店頭に強い照明器具を設置してくださり、実際に日傘をさして照明の光や熱を遮ってくれることがわかりやすいようなブースを作ったりもしました。

 遮熱効果の検証データなども出して、性能の根拠をきちんと示すようなプロモーションを心がけています。

 

――商品開発にあたり、どのように男性の声を拾ってリサーチしていますか?

 

 ご意見のメールや、ECサイトのレビューをよく見ています。また、ロフトやハンズ、プラザなど商品を置いている主要なお店の店員さんからお客様の生の声をお聞きできるように密にやり取りできる体制を作っています。

 

――Wpc. IZAの商品を作ってから、逆に女性用の傘の開発のヒントになったことなどはありますか?

 

 この商品を発売したときにこのシンプルさを求めていた人が世の中にたくさんいたんだなと思いました。レディースの傘の方でも今年は無地のものを増やしていています。最近は女性にも無地デザインを好まれる方が多いので、デザインは本当に行ったり来たりですね。ユニセックスラインに取り入れたりもしています。

 

「恥ずかしさ」をどう乗り越えるか

 

 男性市場は増えてきたものの、「日傘は女性のもの」という意識はまだ根強く残っているように思います。男性からすると、一番ネックになるのは「恥ずかしい」という部分のようなので、まずはビジュアル面からアプローチをしました。

 1年目でビジュアルモデルに起用した窪塚洋介さんは男性からの支持も厚く、また自分らしさが確立されていてかっこいい、という点が魅力でした。昨年のオダギリジョーさんも同様ですが、「この人が日傘を使っているとかっこよく見えてくるな」と思ってもらえたらと思いました。今年は岡田将生さんを起用し、今までのクールな印象からは少し方向性を変えて、いい意味でハードルが下がるようにしています。

 

 最近のメンズ化粧品がまさにそうですが、かっこよく見えないと男性自身も買ってくれないし、女性にもプレゼントで選んでもらえないので、かっこいいビジュアルをつくることにかなり力を入れていますね。

 

 

――公式サイトを見て、機能美を押し出したプロモーションが男性にうけそうだなと感じました。

 

 Wpc. IZA発売前から他社商品で男性も持てる日傘はありましたが、そのときはユニセックス寄りの商品が多かったんです。過去の流行語で「日傘男子」という言葉もありましたが、そのテイストが本当に男性にウケているのか少し疑問でした。言葉自体が、男性の日傘に対する恥ずかしさに繫がっているのでは、と。

 社内では、「日傘男子」という言葉は「弱々しい」「色白男子」というようなイメージもあり、かっこいいとは少し違うかもしれないと意見が出ていました。なので、弊社は「日傘男子」という言葉は使わず、晴雨兼用にして雨傘としても問題なく使える、などの導入口を作りました。

 

 

 ですが……、そもそも日傘を差している男性が街中にいても、周りの人は特に何も思わないんじゃないかな?と思ったりもします。私が傘メーカー勤務だからかもしれませんが、むしろ意識が高くていいなと思ったり。

 いま、夏に日傘を差している人を見たら、あの人時代の最先端をいっているなって感じがしませんか?(笑)

 

日傘は「一つの選択肢」

 

――相談なのですが、50代の父親に日傘を持ってもらうにはなんと言ってすすめたらいいでしょうか?最近の夏は本当に暑いので、熱中症予防に持ってと強く言っているのですが……。

 

 真夏に日傘を差さずに外を歩くと頭頂部の温度が高温になってしまうのですが、日傘を差すだけでだいぶ温度が下がり、日陰や木陰に入ったときのような涼しさを体感していただけます。

 Wpc. IZAは父の日需要も高い商品なので、お子さんから晴雨兼用傘としてプレゼントとしてみたら「使ってみたら意外とよかった」と言われたというお話もありますね。

 

 

 弊社では、年齢、性別に関係なく日傘を体調管理に役立ててほしいというメッセージを発信しています。環境省の呼び掛けやコロナ禍での熱中症患者の増加、また1年の中で暑い日がどんどん多くなってきていることなどから日傘の売り上げは雨傘を超えるようになりました。

 熱中症は自分で対策をすることができるものなので、暑さ、UV対策の一つの選択肢としてぜひいろんな方に使ってみていただきたいですね。

 

(聞き手・笹本なつる)

 

Wpc. IZA 公式サイト
https://wpc-worldparty.jp/brand/wpc-iza/

Instagram
https://www.instagram.com/wpc.iza/

 

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