いよいよ今年も梅雨入りし、傘が大活躍するシーズンとなりました。
洋服などと同じように、お気に入りの傘を長く使うためには「お手入れ」が大切です。みなさんはどれくらいケアをしていますか?
今回は、傘ブランドWpc.の広報担当・中村友香さんにお手入れのコツをうかがい、記者が実践したレポートをお届けします。
(前回記事「Wpc.銀座店オープン 傘500種を体感」)
実は学生時代からずっとWpc.の傘を使用しているWpc.ヘビーユーザーの筆者。ですが、今回の取材で傘にお手入れが必要なことを初めて知りました……。
まずは、筆者が長年使用している傘の現状をご紹介します。
①4年ほどは同じ傘を使っています。傘袋を使わず、小さなビニール袋に入れているズボラ仕様。
②表面をよく見ると、布の折り目に黒ずみが…。
③裏地の折り目には白い汚れも。
④撥水力も若干弱くなっている印象です。
いかがでしょうか?家族から物持ちがいいと言われる筆者ですが、やはり年季が入っている印象でした……。お気に入りの傘をできるだけ長く、きれいに使い続けるためのお手入れ方法をWpc. 広報・中村さんにお聞きしました。
――なぜ傘のお手入れが必要なのでしょうか?
中村友香さん:傘は使っていくごとに撥水力が落ちていきます。汚れの蓄積が主な原因で、空気中や雨に含まれているほこり、手脂(てあぶら)、日焼け止めクリームやハンドクリームが多いです。使い終えて傘を巻くときに表面を触るので、手についているクリームなどが付着してしまうんです。
実は、撥水加工には水を弾く性質のある「フッ素樹脂」が使われており、傘生地にはこのフッ素樹脂の粒が縦に細かく並べられていることで、雨に濡れても生地に水が染み込まないようになっています。しかし、生地の汚れや摩擦などによってフッ素樹脂の粒が倒れてしまうと撥水力の低下につながります。
――どのようにお手入れをすればいいでしょうか?
中村:ドライヤーでのお手入れがおすすめです。もしくは、当て布をしてアイロンをするのもいいですね。熱を加えることで、倒れたフッ素樹脂の粒が元に戻って撥水力が復活します。
――傘にドライヤー!?意外です……。傘を使ったあとは毎日しなければいけないのでしょうか?
中村:ドライヤーは1カ月に1回くらいで大丈夫です。傘のお手入れには、毎回のケアから汚れがひどいときまで段階があるので、それぞれご紹介していきますね。
中村:まず、雨が降った日の使用後は、傘を広げて直射日光が当たらない風通しのいい場所で陰干ししてください。傘が濡れたまま閉じて置いてしまう人も少なくないようですが、雨水を乾かさないままにすると撥水力が落ちる原因になります。玄関先に広げて干すのがおすすめです。
――なんとなく、お日様に当てて乾かしたほうがいいと思っていました。
中村:私も傘メーカーで働く前は同じように考えていました。洗濯物のように干したくなりますよね。ですが、直射日光や高温多湿な環境は骨の変形や生地の劣化を招いてしまうんです。
中村:傘をしばらく使うと、表面が少し汚れてきたり撥水力が落ちてきたりします。傘表面の骨と骨の間に筋のような汚れがついているときがありますよね。そんなときのおすすめが、シャワーとドライヤー。
汚れが目立ってきたら、傘表面をシャワーで洗い流します。その後、傘を広げて陰干しをし、完全に乾くまで待ちます。傘が乾いたら、ぬるま湯に中性洗剤(食器用洗剤など)を薄め、スポンジや柔らかいタオルで汚れを優しく拭き取ってください。
再びぬるま湯で洗い流し、傘を陰干し。それが乾いたらドライヤーで傘を温めます。必ず生地から10cm程度離して、ふんわり温めるイメージで熱を加えます。
――特別なお手入れはどれくらいの頻度ですればいいでしょうか?
中村:使用頻度によりますが、しばらく雨が続いた日のあとや、雪の日の後、梅雨が終わったタイミングなどがおすすめです。撥水力や汚れが気になったら、でもいいですね。
――ビニール傘のケアはどうすればいいでしょうか?
中村:ビニール傘には、ドライヤーは使わないでください。熱で生地に穴が空いてしまう可能性があります。使い終わったら陰干し、汚れが気になったらシャワーで洗い流すという手順で大丈夫です。