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風にのる伊藤蘭「いま音楽が楽しい」

全国ツアー×新曲リリース

堀清香さん撮影
 
 俳優、歌手として活躍する伊藤蘭さんの全国ツアーが8月25日の大阪公演から始まった。仙台市やさいたま市、東京・有明など九つのホールを巡るのは、5年前から毎年開くツアーで最も多い。今月21日には新シングル「風にのって~Over the Moon」もリリースし、歌手活動がますます波に乗っている。
 
 3人組の女性歌手グループ「キャンディーズ」の一員として1973年9月1日にデビューし、「ランちゃん」の愛称で親しまれた。50周年を迎えた昨秋から今年にかけては、歩んだ道のりを実感するステージが度々あった。
 
 昨年のツアーの締めくくりは、東京の日比谷公園大音楽堂(日比谷野音)だった。自身の50周年と日比谷野音100周年を記念した公演で、「野音は私たちにとってスペシャルな場所。私の大きな区切りの年にまた立てるなんて幸せでした」。1977年7月17日、解散の決心をファンに告げた忘れられないステージだからだ。
 
 半世紀近くをへても目の前の景色は同じに映った。「たくさんのお客様が変わらずに熱い気持ちを持っていてくださるのを実感しました。年齢層はあがっていますけど(笑)。人生を振り返った、というより、振り返らざるを得ないライブでした。まさに〝ザ・50周年〟という感じで」
 
 今年5月の東京・六本木のライブでは、第1部の最後の1曲だけ客席からステージに紙テープを投げてもいい時間をつくった。昔はライブでよく見られた光景だが、いまはほとんどない。ファンの要望で特別に実現した。
 
 紙テープ曲は「哀愁のシンフォニー」。キャンディーズ時代、サビにさしかかると一斉に紙テープが投げ入れられることで知られた曲だ。ランちゃんカラーの赤をはじめ、色とりどりの紙テープが飛んできて、体に絡みついた。「ステージから見るときれいなんです。体に巻き付いてどんどん歌いにくくなる感覚が懐かしかった。『そうそう、こんな感じ』って」
 
 大きな節目の年を無事に駆け抜けて、改めて気持ちを引き締めた。「いま本当に音楽活動が楽しくできているんですよ」と笑顔で語る。今回のツアーでは新曲のほか、ソロになってからは歌ったことがないキャンディーズの曲も披露したいという。
 
 歌い続けることについて、昨年12月に出した初のエッセー「Over the Moon わたしの人生の小さな物語」(扶桑社)で「正直、いつまでできるかな?(中略)生物学的な年齢を意識しなければいけないのも確か」とつづった。「幸い、いまは体も気持ちも丈夫だし、まだしばらくは歌えそうかな。でも自信満々になっても、ね。のどのケアをしっかりして、ピラティスにまめにいって体を保ちつつ、あとは流れにまかせて力まずに」
 
 

「伊藤蘭~Over the Moon~コンサートツアー 2024―2025」公式HP

https://www.diskgarage.com/feature/ito-ran/2024-2025/