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フィギュアへの愛が生んだひと冬の物語

映画「ぼくのお日さま」

 

 映画「ぼくのお日さま」が9月13日から全国で公開される。吃音のある小学6年の少年(越山敬達)、フィギュアスケートに打ち込む中学1年の少女(中西希亜良)、夢を諦めた元フィギュアスケート選手(池松壮亮)という3人の、ひと冬の心の成長、抱える痛みや迷いを、美しい光とさえた空気の中で描いた秀作だ。

 カンヌ国際映画祭の「ある視点」部門で公式上映され、トロント国際映画祭の出品も決まるなど、すでに注目を浴びている。全国公開に先立って完成披露試写会が東京・新宿で開かれ、奥山大史監督や出演した俳優陣が映画への思いを語った。

 奥山監督は7年ほどフィギュアスケートをしていた経験があり、いつかフィギュアスケートを題材に映画を撮りたいと考えていた。秘めていた思いは、別の仕事で池松に出会ったことに加え、佐野遊穂と佐藤良成のデュオ「ハンバートハンバート」の曲「ぼくのお日さま」を聴いて刺激され、自ら脚本を書き上げた。「ぼくのお日さま」は映画の主題歌、そしてタイトルになった。

 少年役の越山は4歳からスケートに親しんできた。少女役がなかなか見つからず、スケートリンクにオーディション開催のポスターを貼ったところ、コーチに勧められた中西が応募し、選ばれた。演技は今回が初挑戦だ。池松は「2人ともまっすぐで控えめ。宝石のような輝きをこの映画に残してくれました」とたたえた。

 北海道と岩手で撮影した。アイスダンスでペアを組むことになった越山と中西の息が次第に合っていく場面が見どころのひとつ。監督自身がカメラを手にリンクを滑走しながら撮った映像もあり、臨場感があふれる。越山は「みなさんの心にいつまでも残り続ける映画であったらうれしいです」と呼びかけた。

 

映画「ぼくのお日さま」公式サイト

https://bokunoohisama.com/