1万玉に1玉しか収穫できないという梨があります。その名は「幻の恵水(けいすい)」。重さは1キロ以上にもなる大玉で、美しく甘いのが特長です。
カナフキンさんが足を運んだのは、茨城県石岡市の梨農園です。今にも重みで落ちそうなたわわに実った梨が!!ベテラン梨農家の飯村栄さん(58)に、「恵水」の魅力やおいしい味わいかたを語ってもらいました。
広告会社に勤務し、茨城のPR を担当。2022 年4 月より、茨城と全国をつなげる「カナフキン」として旅を続けている
動画「カナフキンの茨城再発見 恵水探訪編」 https://youtu.be/3utlv9K7xSY
「収穫の1カ月前くらいから甘さが増していくんです。酸味が少なく深い甘みは、ほかの品種では味わえません」。65年間梨づくりを続けてきた飯村家の3代目、栄さんにとっても、「恵水」は格別な梨のようです。
平均600グラム?!細やかに大切に育てられている
恵水は茨城県のオリジナルブランド。「新雪」と「築水」をかけあわせ、17年の歳月をかけて開発された品種です。平均して約600グラムの大玉で、2016年から本格的に出荷され、近年、東南アジアにも輸出されています。
これだけ大きな「恵水」をどう栽培しているのでしょうか。「棚仕立てでつくっています」と飯村さん。ブドウやフジと同じように、棚につるを絡ませて花を咲かせたり実を育てたりする栽培方法で、枝を整えて日光が平均的にあたるようにしています。形の悪い梨を早めに間引き、剪定した枝を燃やして炭にして土に返す試みも重ねているそうです。
「幻」の誕生、1玉1万800円
「恵水」栽培を本格化したのが8年前という飯村さんですが、すでに希少な「幻の恵水」の栽培に成功しています。「幻の恵水」は①1玉の重さ1キロ以上②糖度14度以上③外観が美しいの3条件を満たすことが求められ、恵水のなかでも1万玉に1玉程度しか誕生しない逸品です。
昨年、茨城県内で恵水をつくっている梨農家3軒が、「幻の恵水」の栽培に挑戦し重さや糖度の条件をクリアした梨は60玉。しかし、「幻の恵水」として認められたのは11玉でした。「外観の美しさ」を認定するのは、農家ではなく、消費者に販売する果実店。「しみや傷、くぼみがあったら認められないんです」
でも、それだけに、昨年の販売価格は1玉1万800円の高値になりました。
虫も好む、甘さ
梨栽培の難しさの一つに害虫対策もあるそうです。農園全体に網を張っていますが、今年はカメムシが多くて困っているとのこと。「この梨のくぼみはカメムシが吸ったものだと思います。梨の中でも特に甘い恵水のおいしさをカメムシもわかっているのかも?」
茨城県は梨の生産量が全国2位で、7月下旬の「幸水」に始まり、「恵水」のほか、「あきづき」や「にっこり」が10月下旬にかけて出荷されています。そんな梨産地で生まれ育ったカナフキンさん。
これまでに出会った「幻の恵水」は、かぶっている帽子と同じぐらいのサイズで、下から持ち上げた時のずしりとした重さが印象に残っているそうです。今回、栽培の苦労や工夫を飯村さんから聞いて改めてこう感じたそうです。
「幻の恵水と認められるのは本当にレア。まさに茨城の情熱が生んだ梨ですよね」
インタビュー構成・佐藤直子
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