昨年9月、テレビドラマ界のアカデミー賞といわれるエミー賞で作品賞を含む歴代最多の18冠に輝いたドラマ「SHOGUN 将軍」。実際に撮影で使用された甲冑(かっちゅう)衣装が4月20日(日)まで、大阪市此花区の大阪・関西万博会場で特別に展示されている。
世界中の主要アワードを軒並み制覇し、受賞数はトータルで90にも及んだ同作品。戦国の日本を描いたジェームズ・クラベルの小説「SHOGUN」が、「トップガン マーヴェリック」の原案を手掛けたジャスティン・マークスや、名優・真田広之らハリウッドの制作陣により、ディズニーのドラマシリーズとして生まれた。昨年2月に配信開始後すぐに批評家たちの目に留まり、配信直後には全米映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で、99%フレッシュ(絶賛の高評価)を獲得。主演・プロデュースを務める真田広之はもちろん、アンナ・サワイ、浅野忠信ら、日本人初となる俳優部門での受賞ラッシュで、日本でも大きな話題となり、日本のディズニープラスで昨年もっとも視聴されたシリーズとして記録を打ち立てた。
展示されているのは、そんな世界中で〝天下〟を獲った同作品の撮影で使われた甲冑と衣装の5点。いずれもカルロス・ロザリオが監修したもので、日本初公開だ。吉井虎永を演じた真田広之、樫木藪重を演じた浅野忠信、石堂和成を演じた平岳大が着用した兜(かぶと)と甲冑、戸田鞠子を演じたアンナ・サワイ、落葉の方を演じた二階堂ふみが着用していた打掛が、静かな暗がりの中、幻想的に浮かび上がる。エミー賞衣装デザイン賞に選ばれた同作品。織りや紋様、刺しゅうに至るまで細部にこだわり、職人が見事に手を施しているのが見て取れる。戦国時代と江戸時代の衣装の違いは綿密に考証を重ねたといい、リアルさと美しさには目を見張る。
一方、出演者の体の負担になりすぎないように、重量感を残しつつ軽量な素材を一部に使うといった創意工夫も随所に。キャラクターが立つように役柄ごとに統一した色合いで衣装が考えられるなど、日本の時代劇とは違ったエンターテインメントの本場制作ならではの発想にもふれられる貴重な機会だ。
特別展示には「SHOGUN 将軍」のプロデューサーを務めた宮川絵里子さんが立ち会った。日本と米国の架け橋をめざし、長くハリウッドに関わってきた宮川さんは「言葉や文化の違いを乗り越え、皆が120%の力とアイデアを出し合ったことが『SHOGUN 将軍』をより魅力ある作品にしたと思います。作品の舞台にもなっている大阪で、万博という機会に世界中のファンに衣装を見ていただけるのは大変光栄です。2回、3回見ても魅力的な作品なので、『SHOGUN 将軍』にさらに親しんでいただきたい」と話していた。
展示会場は大阪・関西万博会場内「EXPO メッセ『WASSE』」のイベントホール南側。本編第1話「按針」とメーキング映像も上映されている。ディズニー傘下のFXが製作した「SHOGUN 将軍」はディズニープラスで全話独占配信中。