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富田染工芸@新宿

時代に合わせた東京染小紋

型紙を使って小裂(こぎれ)染め体験ができる作業場に立つ5代目の富田篤さん(右)と6代目の高史さん
型紙を使って小裂(こぎれ)染め体験ができる作業場に立つ5代目の富田篤さん(右)と6代目の高史さん
型紙を使って小裂(こぎれ)染め体験ができる作業場に立つ5代目の富田篤さん(右)と6代目の高史さん 工房で販売する小紋チーフ(5184円)、小紋タイ、日傘など

 神田川沿いでは、江戸時代から染色産業が栄え、新宿区の落合・中井地区の地場産業として根付いた。現在は約70軒の染色関連業者が集まっている。

 富田染工芸は浅草から移転し、1914年創業。「東京染小紋」や「江戸更紗(さらさ)」を継承する。創業時から受け継ぐ型紙は約12万枚。型紙に色糊(のり)をのせて染め、しごいた後、蒸して色を定着させ、水洗いする。神田川では、63年ごろまで染めた布を洗う光景があちこちで見られたそうだ。現在は地下水を利用している。

 職人は伝統工芸士5人を含め、総勢13人。5代目の富田篤さん(69)は、着物が売れなくなり弱気になったこともあったが、息子の高史さん(39)が後継を申し出たことをきっかけに、5年前からスカーフやネクタイなど時代に合わせたファッション小物を手掛け始めた。

 同社は2020年東京五輪の公式商品「東京染小紋 風呂敷クロス」も制作。篤さんは「業界みんなが生き残っていくため、先頭を切って新しいことに取り組んでいます」。

(文・写真 秦れんな)


 ◆東京都新宿区西早稲田3の6の14(TEL03・3987・0701)。工房(体験・販売)午前10時~正午、午後1時~4時。土・日・祝定休。面影橋駅。

(2017年4月21日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)