荒川上流の渓谷で、秩父の名勝地、長瀞。天然氷のかき氷が観光客に人気の阿左美冷蔵は上長瀞駅、長瀞駅の近くに本・支店を構え、2店とも長蛇の列ができる。
綿あめか淡雪のようにふわりとしたかき氷は器にたっぷり盛られ、口に含むとほのかな甘みと清涼感が広がる。和三盆と氷砂糖などをブレンドしたという「蔵元秘伝みつ極みスペシャル」(1500円)のみつは「天然氷の味を邪魔をしないようバランスを考えた」と5代目の阿左美哲男さん(68)は話す。飲食店へ天然氷を卸す蔵元として、1890(明治23)年に皆野町に創業。天然氷の需要が減るなか、哲男さんが1992年から上長瀞駅前の金崎本店でかき氷一本の営業を始めた。
長瀞町にある宝登山(ほどさん)の山裾につくった人工池に11月下旬から沢の水を引き込み、冬の寒さを利用して氷を育てる。年末から年始にかけて厚さ15センチぐらいになったところで電動のノコギリで切り出して冷凍庫へ保管。「厳冬で今年はたくさんできたから、10月ごろまで天然氷で提供ができそうだ」と哲男さんは笑う。
(文・写真 尾島武子)
◆金崎本店 埼玉県皆野町金崎27の1(TEL0494・62・1119)。午前10時~午後4時半ごろ(混雑時は3時まで)。(木)休み。上長瀞駅。