1907年の創業以来、竹工芸品の制作、販売を続ける。大正時代、青梅街道や甲州街道沿いには、農家や市場で使う籠などを売る竹細工の店が数多くあったという。
九州や京都から仕入れたさらし竹から、作る物に合わせて材料となる竹ひごを取る。細いもので、厚さ0・2ミリ、幅0・3ミリ程。「一人前にひご取りできるまでに10年ほどかかります」と4代目の田中茂樹さん(38)。染色などの加工を施した後、手作業で編んでいく。完成まで、直径30センチ程の花籠で5日間、バッグは持ち手の取り付けなども含め1週間ほどだ。
昨年改装した店内には、籠やカトラリーなどの日用品と共に、3代目の旭祥(きょくしょう)さん(70)の伝統工芸作品が並ぶ。2008年には紫綬褒章を受章、海外で個展も開く。「アートとして評価して頂けるのはうれしいこと」と旭祥さん。
花の仕事をしていた茂樹さんの妻亜希子さんが加わり、花の販売も始めた。季節の花が来店者の心を和ませている。茂樹さんは「なんでもできるのがうちのよさ。時代にあわせて変化し続けています」
(文・写真 秦れんな)
◆東京都杉並区下高井戸3の1の2(TEL03・3304・3710)。午前9時~午後7時。(水)休み。真竹箸1620円、本煤竹菓子切り1500円など。