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大川木工所@小田原

木地師が支える小田原漆器

大川肇さん。店頭には、これまで制作した商品が並ぶ。摺漆塗の盆(7寸、2800円~)、汁椀(3500円~)
大川肇さん。店頭には、これまで制作した商品が並ぶ。摺漆塗の盆(7寸、2800円~)、汁椀(3500円~)
大川肇さん。店頭には、これまで制作した商品が並ぶ。摺漆塗の盆(7寸、2800円~)、汁椀(3500円~) ろくろに当てる刃物は、鋼の棒から鍛冶(かじ)仕事で自作する

 小田原から箱根に向かう旧東海道の近くに、小田原漆器の大川木工所がある。創業は1926(昭和元)年。代表の大川肇さん(61)は3代目だ。

 漆器は木を成形する木地師と漆を塗る塗師(ぬし)の分業で作られる。大川さんは、創業者の祖父の代から木地師。小田原漆器の特徴は、木目を生かし、生(き)漆を摺(す)りこむ「摺漆塗(すりうるしぬり)」と透明な漆を塗る「木地呂(きじろ)塗」だ。そのため、木地師の腕が商品の良しあしを左右するという。「表面をつるつるにしないと漆が木目に染みこんで黒くなる」と大川さん。

 この地は、室町時代から箱根山系のケヤキを主な材料に、ろくろで削る木地挽(び)きの器に漆を塗る伝統が根付く。戦国大名の北条氏康が京都から塗師を招き、彩(いろ)漆塗も作られるようになった。

 第2次大戦後の最盛期は300人以上いた木地師も、今は15人ほど。一時は量産品に押されていたが、最近は伝統工芸が見直されているという。現在、小田原漆器組合の組合長を務める大川さん。「小田原漆器を受け継ぐ人が出てきてくれれば」とほほえんだ。

(文・写真 石井久美子)


 ◆神奈川県小田原市南板橋2の226の2(TEL0465・22・4630)。午前9時~午後5時。不定休。箱根板橋駅。

(2018年5月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)