江戸時代の中ごろ、長崎のビードロ師から江戸の町に伝わったとされるガラス製の風鈴。夏の風物詩、江戸川河川敷の花火大会で知られる江戸川区で風鈴をつくる篠原風鈴本舗は、初代が1915(大正4)年に東京・下谷で創業。向島などを経て現在地に移り、2代目の篠原儀治さん(93)が50年ほど前に「江戸風鈴」と名付けた。
3代目の裕さんが亡くなったあと、妻の恵美さん(63)が代表を務め、義父、儀治さんと長女夫婦、三女らとのれんを守る。
ガラスの竿(さお)に息を吹き込み、溶けたガラスを膨らませる宙(ちゅう)吹きの作業は、炉内からガラスの種を竿の先に巻き取ることが難しい。15年以上研鑽(けんさん)を積んだ職人が、1日に約300個仕上げる。その後、朝顔や金魚など涼しげな柄の絵付けを施す。ガラスの内側から左右を反転させて描くほか、1色ごとに十分に乾かして別の色を塗り重ねるため、1個の風鈴に3、4日かかることも。「300年続いている伝統を、今後さらに300年続けていけたらうれしいです」
(文・写真 尾島武子)
◆東京都江戸川区南篠崎町4の22の5(TEL03・3670・2512)。午前9時~正午、午後1時~6時。(日)(祝)(休)休み。瑞江駅。