東京・蔵前にあるショールームは、花やチョウなど華やかなビーズバッグが並び、ギャラリーのようだ。
1913(大正2)年、洋傘屋で修業した初代の平田定吉が傘用の布と木製の持ち手の袋物を考案し、前身の会社を創業。35年には、ビーズバッグを作り始め、皇族のバッグも手がけた。
ビーズバッグは、デザイナーのデザインをもとに縫い子が刺繍を施し、仕立屋がバッグの形に仕立てる。戦前は、100人以上の縫い子に内職としてビーズの刺繍(ししゅう)を頼んでいたというが、今では約40年の経験を持つ静岡市清水区在住の齋藤良美さん(73)と数人のみ。
完成まで約1カ月以上かかるうえ、職人の減少で、一面をビーズで埋めたバッグを作るのが難しくなった。現在は、花柄や幾何学模様など600以上のデザインをもとにワンポイントや柄をビーズであしらったバッグが多い。
3代目の平田直人さん(69)は、「軽さが求められている時代ですが、この重厚さには歴史がつまっています」
(文・写真 佐藤直子)
◆東京都台東区蔵前3の19の6(TEL03・3862・6938)。午前10時~午後5時。(土)(日)(祝)休み。蔵前駅。月3回ビーズ刺繍教室を開催。