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きびがら工房@栃木・鹿沼

ほうきの端材を郷土玩具に

3代目の丸山早苗さん。2本の棒が付いたほうき制作用の道具は、きびがら細工作りにも使用
3代目の丸山早苗さん。2本の棒が付いたほうき制作用の道具は、きびがら細工作りにも使用
3代目の丸山早苗さん。2本の棒が付いたほうき制作用の道具は、きびがら細工作りにも使用 素朴で愛らしい十二支は1個1296円。全て手作業で、1日に作れるのは20個程度

 緑豊かな住宅地にある、自宅兼工房の庭先。大きなざるの中で、十二支の人形たちが風に当たる。ほうきの材料、ホウキモロコシの茎を編んで作る郷土玩具「きびがら細工」だ。鹿沼ほうきの職人だった初代が、1918年に創業。2代目がほうき作りの傍らで端材を使って作り始め、その孫の丸山早苗さん(41)が技を引き継ぐ。

 11年前、妻を亡くして廃業を口にする祖父に、一緒に仕事をすると言って寄り添った。「職人気質で、ただ独り暮らしの世話を申し出ても怒るので」と苦笑いする。編み方は目で覚えた。「小さい頃に端材で遊んだのが下地になったのかな。ちぎってご飯に見立てて、おままごとも」と丸山さん。習い始めて2年で祖父は他界した。

 水に浸して軟らかくした茎を、丈夫な漁網を糸に、手のひらサイズの動物の形に編みこんでいく。糸を結ばずにからげるのは、ほうき作りの技術だ。本来は捨てる端材のため、茎は太さや長さがバラバラ。「でも、十二支を作るとまんべんなく使い切れるんです」。祖父の意匠の工夫を、日々実感している。

(文・写真 中村さやか)


 ◆栃木県鹿沼市村井町。購入は同市麻苧町1556の1、木のふるさと伝統工芸館(TEL0289・64・6131)などで。新鹿沼駅。

(2018年10月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)