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黄八丈めゆ工房@八丈島

鮮やかな黄色 島の恵みで

天日干しにした糸の前に立つ山下芙美子さん(右)と誉さん。樺(かば)色は「マダミ」と呼ばれるタブノキの樹皮で染める
天日干しにした糸の前に立つ山下芙美子さん(右)と誉さん。樺(かば)色は「マダミ」と呼ばれるタブノキの樹皮で染める
天日干しにした糸の前に立つ山下芙美子さん(右)と誉さん。樺(かば)色は「マダミ」と呼ばれるタブノキの樹皮で染める 黄色、樺色、黒の3色の糸を使い、縞(しま)や格子柄に織るのが特徴

 都心から約290キロ離れた八丈島には、島の名前の由来ともいわれる絹織物「黄八丈」がある。

 黄八丈は、島に自生する草木の染料で絹糸を染め、織り上げていく特産品。しかし、昔ながらの技法を使い、染めから織りまでを手がける職人は数少ない。

 1917年、初代の山下めゆさんが祖父に染めを教わり創業。戦後、化学染料を取り入れる職人が増える中でも「受け継いだことを続ける」とやり方を変えなかった。現在は、孫で3代目の芙美子さん(72)と夫の誉(ほまれ)さん(77)、次男の雄さん(40)が遺志を継いでいる。

 黄八丈の特徴である黄色は、「八丈カリヤス」と呼ばれるイネ科の植物を使って染める。10年ほど前には天候の影響で草の出来が悪く、澄んだ黄色に染められないことがあった。悩んだ末に、染めの作業はいったん休止。納得できる色が出来るまでの3年間、ストックしていた糸を使い出荷した。芙美子さんは、「織りのデザインは創意工夫。だけど染めは昔のまま。自然の恵みをいかした本物の色を残していきたい」と話す。

(文・写真 町田あさ美)


 ◆東京都八丈島八丈町中之郷2542(TEL04996・7・0411)。午前9時~正午、午後1時~5時。無休。八丈島空港から車。

(2019年1月11日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)