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いせ源@神田

江戸っ子が好んだ あんこう鍋

入り口に立つ立川博之さん。横のケースには下処理をしたアンコウを展示。玄関では、靴を預けて昔ながらの木札を受け取る
入り口に立つ立川博之さん。横のケースには下処理をしたアンコウを展示。玄関では、靴を預けて昔ながらの木札を受け取る
入り口に立つ立川博之さん。横のケースには下処理をしたアンコウを展示。玄関では、靴を預けて昔ながらの木札を受け取る 鍋は、野菜やシイタケなどと煮込む。一人前3500円~

 秋葉原の電気街にほど近い神田須田町。靖国通りと神田川の間に、戦災を免れた老舗飲食店が軒を連ねる。その一角の「いせ源」は、1830(天保元)年創業のアンコウ料理専門店だ。

 アンコウは、フグと並び称される冬の味覚。「いせ源」は京橋でドジョウ屋として開業し、青果市場のあった現在地へ。大正時代、あんこう鍋を中心とした専門店に移行した。

 鍋のだしは、江戸っ子の口に合うしょうゆベース。身の臭みを取るため、半日ほど水にさらす下処理を欠かさない。濃厚な肝をはじめ、淡泊な大身や弾力のある頰肉など七つの部位を入れ、味や食感の違いを引き立たせる。

 7代目の立川博之さん(36)は2010年、青森県風間浦(かざまうら)村の漁業者と直接取引を始めた。魚体に負担のかからない漁法と活〆処理で、鮮度を保ったまま店へ。刺し身でも提供する。

 アンコウは限りある天然資源。食文化を未来につなぐため、産地とともに資源保護を考える。「これからも末永く、専門店ののれんを掲げていきたい」

(文・写真 木谷恵吏)


 ◆東京都千代田区神田須田町1の11の1(TEL03・3251・1229)。午前11時半~午後2時、5時~10時((土)(日)(祝)は通し)。無休(4~10月は(土)(日)(祝)休み)。神田駅。

(2019年2月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)