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天真正伝香取神道流本部道場@千葉・香取

600年続く「武芸十八般」の源流

飯篠快貞さん(右)と京増重利さん。壁には棒や薙刀、木刀がかかる
飯篠快貞さん(右)と京増重利さん。壁には棒や薙刀、木刀がかかる
飯篠快貞さん(右)と京増重利さん。壁には棒や薙刀、木刀がかかる 入門46年の門人(左)らによる剣の稽古で、一つの型の終わりを見せる。型は県の無形文化財に指定されている

 「エイ」「ヤー!」。勇ましいかけ声と木刀の打ち合う音が響く。千葉県香取市、香取神宮のほど近く。約600年連綿と伝えられてきた古武術、天真正伝(しょうでん)香取神道流の本部道場だ。築300年以上のこの道場に約30人の門人が通い、海外にも支部を持つ。

 室町時代中期の武将・剣豪、飯篠長威斎(いいざさちょういさい)家直が同神宮で修行中、神から極意を授けられたと伝わる体系。居合、太刀、薙刀(なぎなた)をはじめ築城術まで、「武芸十八般」の源流とされる。常に実戦を念頭に置き、複数の技を組み合わせた型が他流派より長い。体力増強と技の盗用防止を狙ったものと言われる。この道55年の京増(きょうそう)重利師範(64)は「修行を重ねるほど技や流れに無駄が全くないと感じる」と話す。

 入門後は剣の素振りに始まり、人柄を含めた習熟の度合いで「目録」「免許」「極意」の巻物を授けられる。技の伝授書でもある一巻の長さは5メートル超にもなる。女性や外国人の入門も増えており、「流儀を守りながら、時代に沿った方法で伝え続けたい」と第二十代宗家の飯篠快貞(やすさだ)さん(82)は話す。

(文・写真 安達麻里子)


 ◆千葉県香取市香取1827(TEL0478・57・3161)。本部道場での稽古は毎月最終(日)の午後1時~6時。佐原駅からバス。

(2019年3月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)