読者の皆さま、はじめまして。もしくは、こんにちは。
奈々福の弟弟子の太福です。だいふく、と読みます。
姉さんがお休み中とのことで、今回、代打コラムのお話をいただきました。
せっかくなので、姉さんも登場する物語がよかろうと思いまして、ちょうどひと月前の出来事ですが、
題して、「新宿末廣亭1月下席10日間物語」の一席を
〽️時間くるまで つとめましょぉぉぉ
どうですか。浪曲師は文字でもうなれるのです。

去年、大変ありがたいことで、「浪曲師が落語の定席で、60数年ぶりでトリをとる」機会をいただきました。新聞をはじめ各種メディアでお取上げいただき、信じられないほどの大盛況となりました。
あの祝祭感は、いまも忘れられない。
そして、ちょうど一年後の今年1月21〜30日の10日間で、再びトリをつとめさせていただくことに。これは自分で手を挙げました。去年の結果があったからできたことかなと思う。つまり、お越しくださった皆さんのおかげです。
奈々福姉さんには去年も浪曲交互枠で助けていただき、今年も交互枠で4日間入っていただきました。落語の寄席に、浪曲が2本入る。去年はじめて叶ったことですが、これは60数年ぶりなんてもんじゃなく、おそらく歴史上初では、と思います。
(勝手に思ってるだけで、違っていたらすみません)
お席亭、落語芸術協会の幹部の師匠方、先輩、仲間内、後輩、みなさんの理解があればこそ、です。本当にすばらしい協会だと思う。
てさて、感謝の念は尽きないのですが、感謝の文章って、第三者にとっては退屈なことくらい心得ております笑。
ここからは、10日間をギュギュギュッとダイジェストにいきましょう。

初日(の後半)の顔ぶれ。姉弟子の奈々福さん、ソーゾーシーが勢揃い
初日:交互枠で吉笑さんが登場。吉笑〜昇々〜鯉八〜太福(&みね子)というソーゾーシーの流れが実現した。さらに、奈々福姉さんが、「太福物語」を唸ってくれた。差し入れで頼んだカツサンドが大量に余る。
二日目:昇太師匠が、ヒザ前(トリの前の最後の落語)に代演で出演。昇々「お面接」昇太「宴会の花道」という十八番の流れがたまらなかった。
三日目:表紙を飾らせてもらった「東京かわら版2月号」物販の初日、仲入りで50部売る見込みだったが、実際は17部しか売れず、2年目の厳しさを味わう。

四日目:去年も一番入ったのが土曜日。今年も一番の大入りとなった。大入りなときは、ネタが安牌に流れるケースもあるが、さにあらず。一番ネタが乱れた(いい意味で)日となった。私はトリの一席で、羊になった。
五日目:小痴楽兄さんと「清水次郎長伝」のリレーが実現した。
六日目:蝠丸師匠の唸りがどんどん良くなる。(師匠、偉そうにすみません。唸っていただいてめちゃくちゃ嬉しかったです)
七日目:吉笑さんが「地べたの二人」を落語化する。目当てのお客様で、平日にも関わらず二階席までいっぱいとなる。私は、アンサーぷるぷるを披露した。
八日目:いつか「豚次伝」くらい育ってほしいと思っている「サカナ手本忠臣蔵」を寄席で初唸り。予想をはるかに超える「さかなや!!!」の大合唱に感動する。
九日目:玉置浩二になれた夜。
十日目:昼の部トリの遊三師匠が「井戸の茶碗」をかけた日に、夜のトリで「茶碗屋敷」(井戸の茶碗の浪曲版)をかける。打ち上げを終えた帰り道に、プチぎっくり腰になる。

十日目、千秋楽のカーテンコールの一コマ
以上、あまりにもダイジェストな10日間ダイジェストでした。気になった方は、noteに10倍くらい詳しく書いてあるので、のぞいてみてください。
総括すると、去年の奇跡的な大盛況には及ばなかったけれど、10日間のうち4日間も二階席が開くという、私の力を考えたら、はるかに出来すぎな大入り興行となりました。
祝祭感は減ったけど、充実感は去年以上。
そんな結果を「ちくしょ〜面白くねぇな〜」なんて感情は微塵もなく、
「本当によかったね〜太福さん!」
と喜んでくれるのが、奈々福という姉弟子です。
姉さんはまだ芸協にはいったばかりなので、もう少し時間を要するかもしれないけど、その日がくるまで、しっかりバトンを渡せるよう、第一走者として踏ん張ってみせます。
最後にみなさん。大事なことをお教えしましょう。トリってのは、楽屋への差し入れとか打ち上げとか、お金がとってもかかります。今回いくらの赤字だったかというと!
〽️ちょうど時間となりました
次は寄席で 会いましょう
まず これまでぇぇぇ

◆たまがわ・だいふく 浪曲師。1979年生まれ、新潟市出身。2007年に二代目玉川福太郎に入門。「清水次郎長伝」などの古典演目のほか、日常を描いた新作や映画「男はつらいよ」全作浪曲化にも挑戦中。にいがた観光特使。著書に「玉川太福 私浪曲 唸る身辺雑記」(竹書房)。