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三菱一号館美術館

三菱一号館美術館

「風変わりな館名」を生かして

 1894年に英の建築家コンドルが設計した東京・丸の内初のオフィスビル「三菱一号館」。高度成長期に解体されたが、2009年、当時の設計図などを基に忠実な復元が行われた。翌年、ロートレックやルドンなど19世紀末の西洋画を中心とした展示を行う「三菱一号館美術館」に生まれ変わった。

 デザインを手がけた服部一成さんは初めて館名を聞いた時「風変わりに感じた」と話す。長いし、「館」が連続する。しかし、「原点を顧みて三菱一号館を復元し、未来に向けて美術館を作る」という理念がそこに凝縮されていると考え、館名そのものをシンボルにしたという。

 三菱の三から三角形を採用。三菱を中心に、一号館、美術館をシンメトリーに配置して、音のユニークな響きも表現した。英文表記を4行で組むと偶然にも逆三角形に。長い名前が幸いした。カラーは外装れんがの「赤」。文字には直線のみを用い、石に彫り込んだようなクラシックな雰囲気を出した。

 「漢字に不慣れな外国の美術館の方も、封筒のロゴでどの館からの手紙かすぐ分かるそうです」と同館の職員は語る。

 ◆東京都千代田区丸の内2の6の2。午前10時~午後6時(祝休日除く金曜日、第2水曜日、会期最終週の平日は9時まで。入館は30分前まで)。原則月曜日休み。3月16日まで臨時休館。問い合わせは03・5777・8600。

(2020年3月3日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)