「おのれの心を知る」外国人にも好評
躍動する人の姿にも見える形は、毛筆で書かれた「心」。真言宗の経典「大日経」にある教えの言葉「如実知自心」(意味は、ありのままのおのれの心を知る)と書いた書幅の1文字だ。どこかありがたい感じがしないだろうか。
年間1千万人を超える参拝者が訪れる成田山新勝寺。境内に広がる成田山公園の中に成田山書道美術館がある。日本の書を中心に約6千点を所蔵する、書の総合美術館だ。東京オリンピックを見据え、3年ほど前からメッセージ性のあるロゴをと検討していたところ、新勝寺の寺宝の一つで、江戸中期の名僧・慈雲の書幅からこの文字を見つけた。シンプルな1文字は、古くから信仰を集めてきた成田山のイメージと書道らしさを表すのにぴったりはまった。
外国人の来館者にもロゴの意味を「heart」と説明すると、伝わりやすく好評だという。学芸員の谷本真里さんは、「印象に残った作品を、ロゴとともに心に刻んでいただけたらこの上ないですね」と話した。
◆成田山書道美術館 千葉県成田市成田640(問い合わせは0476・24・0774)。午前9時~午後4時(入館は30分前まで)。原則(月)(祝・休の場合は翌日)休み。500円。新型コロナウイルス感染拡大防止のため年内は休館し、2021年1月1日から開館予定。